PDCAサイクルは回っているか? 忙しくするだけの改革から新時代の改革へ(1)マネジメントサイクルは回っているか その1

元東京都立西高等学校長 石井杉生

東京都教育委員会が都立学校へ「学校経営計画」策定を導入したのは2003年である。それ以降、多くの都道府県教育委員会が学校経営計画の策定を所管の学校に指示するようになり、現在、公立学校で年度当初に学校経営計画を示さない学校はほとんどないであろう。

都が学校経営計画を導入するに際して開催した検討委員会の報告書に、その内容や意義が簡潔に示されている。それを引用すると「在学している生徒の実態やそのニーズを全教職員が把握した上で、校長が目指す学校像を掲げ、その学校像に向けて各年度に学校が重点的に取り組む事項を数値目標を含む具体的な目標として設定し、目標達成に向けて1年間の学校経営を行い、結果を評価し、その評価を翌年度の学校経営目標に反映させていくマネジメントサイクルである」(『都立学校マネジメントシステム検討委員会報告』より)となっている。

これは明らかに、公的な部門に民間企業の経営手法を導入することにより、効率的でより質の高いサービスを提供しようとするニューパブリックマネジメント(NPM)という考え方である。事実、この検討会には、都が全国に先駆けて導入した民間企業の管理職であった民間人校長もメンバーとして参加していた。

この考え方によれば、年々学校がよくなっていくことになるが、果たして学校関係者の皆さんは、学校が年々よくなってきているという実感があるだろうか。

「学校経営計画」1本で学校がドラスチックに変革するわけではないとお考えの方もいるだろう。私が問うているのは、この「学校経営計画」が導入される以前の学校の改善のスピードと、導入後のスピードの違いである。

確かに、導入直後は一定の緊張感の下、教職員が皆、意識するので学校改善のスピードは上がるのではないか。しかし、数年すれば、その緊張感が解け、また以前と同様の改善スピードに戻ってしまっているのではないだろうか。もしそうだとすれば、学校経営計画の導入は、ただ事務仕事が増えて、学校を忙しくしただけの改革となってしまう。

今改めて、学校マネジメントサイクルの課題を見つけ出し、円滑な回転を可能にする改善の視点が必要なのではないか。本稿はまず、この学校経営計画の策定に始まるマネジメントサイクルが適切に改訂されているかどうかの検証から始めたいと思う。