PDCAサイクルは回っているか? 忙しくするだけの改革から新時代の改革へ(2)マネジメントサイクルは回っているか その2

元東京都立西高等学校長 石井杉生

マネジメントサイクルは一般にPDCAで示され、P=Plan・計画、D=Do・実行、C=Check・検証、A=Action・改善のサイクルといわれている。これらが適切に回っていれば、学校はおのずと改善されてくるはずである。

しかし、このマネジメントサイクルが導入された当初はともかく、導入後10年以上たっても、導入前に比べて学校が格段によくなったという話は残念ながら聞かない。

では、どこに課題があるのか、今回は、P=Plan・計画段階における課題を整理してみる。

まず、校長として今年度の学校経営計画を書く場合、誰を読み手と想定しているのだろうか、という点である。理屈っぽい話で恐縮だが、この原点から確認したい。

学校経営計画は、それぞれの教職員が今年度の自己申告書を書くときの基になるので、「教職員のために書く」校長が多いのではないだろうか。

だが、もう一方で、学校のホームページに掲載してあるのを見ると、自校の教育の特色を広く広報するために使うので、「一般の人、あるいは、本校への入学を検討している生徒保護者を読者として想定している」と答える校長もいるだろう。

私は、学校経営計画が持つこの二面性が、実はP段階の課題ではないかと考えている。

実際に各学校の経営計画・経営方針を見ると、教育目標の後に、今年度の具体的な目標として、「学習指導」「生活指導」「進路指導」などの見出しを付けた、それぞれの取り組みが掲げられている。

この項目立ては、「この学校は『学習指導』で〇〇という特徴的な取り組みをしているのだな」、「『生活指導』では、遅刻指導を厳しく行っていて、遅刻者も少ないようだ」などと外部の人間からは分かりやすい。

しかし、教員側から見ると、「学習指導」「生活指導」は、当然全員がやることであり、「丁寧に指導する」と書いてあっても、どの程度丁寧なのかは結局教職員一人一人の感覚に頼ってしまうことになる。

「進路指導」で外部模試について書かれていても、その担当は基本的に進路指導部が行っており、一般の教員は関知しない。つまり学校経営計画は、誰が行うかの特定が明確にはなされていないという欠点がある。

残念ながら、学校経営計画全体の記述から自分の分野を読み解き、黙っていてもその趣旨を生かした自己申告書を書き上げてくる教員は少ない。

結果として、学校経営計画は、絵に描いた餅となってしまっている学校が多い。

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