カリキュラム・マネジメントとは何か?(3)想像力で切り開くこれからの教育

上越教育大学教職大学院教授 西川純

普通の子供のアクティブ・ラーニング

前回は、トップ大学に進学する子供のアクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)を紹介しました。しかし、そのような子供は最大に見積もっても数パーセントです。では、圧倒的大多数の子供にとってアクティブ・ラーニングは無関係なのでしょうか。いえ、違います。大多数の子供にとって「生き死に」のレベルで重要なことです。

日本では、終身雇用が一般的ですが、そのような雇用慣習があるのは日本だけです。いや、日本も1954年からの神武景気以前は終身雇用ではありませんでした。

神武景気以降60年間、日本は基本的に好景気でした。そのため一時的に不景気になっても、すぐに好景気になるため解雇しない方が企業にとって得だったのです。そのことから終身雇用という雇用慣習が生まれました。しかし、少子高齢化する日本に終身雇用を維持できる余裕はありません。

日本が長期間の不景気になることはずっと前から分かっていました。戦争や疫病のない日本で20年後の20歳の日本人の数は、現在の0歳児の数とほぼ一致するからです。ずっと前から少子高齢化社会は予想できていました。

95年、日本経営者団体連盟(日経連)は「新時代の『日本的経営』挑戦すべき方向とその具体策」を発表しました。今後の雇用形態として、幹部候補の社員以外は終身雇用しないことを書いているのです。

終身雇用でなくなると企業内教育はなくなります。なぜなら、時間と手間とお金をかけて社員を教育するのは、その社員がずっと会社に所属し戦力になるからです。終身雇用がなくなれば、時間と手間とお金をかけて育てても、社員は給料の高い他社に移ってしまいます。

従って、今後の日本、そして日本以外の国は「即戦力」を求めています。では、企業が求める「即戦力」とはどのようなものなのでしょうか。それを経済産業省がまとめたものが「社会人基礎力」で、三つの能力で構成されています。その一つが「チームで働く力」なのです。

これを育てることが大多数の子供にとってのアクティブ・ラーニングなのです。新しい学力の3要素に「多様な人々と協働して学ぶ態度」が加わったのは偶然ではありません。

詳細は「サバイバル・アクティブ・ラーニング入門」(明治図書出版)、「親なら知っておきたい学歴の経済学」(学陽書房)をご覧ください。

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