複雑化する学校トラブル スクールロイヤーの役割(1)スクールロイヤー制度化の経緯

2017年8月に文科省が「18年度よりスクールロイヤー派遣の取り組みを開始する方針」を発表して以降、メディア上で「スクールロイヤー」という言葉を目にする機会が増えた。この春にはNHKの土曜ドラマでスクールロイヤーを主人公とする6話連続ドラマ「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」も放送された。

にわかにスクールロイヤーが注目を集めるにようになってきた。実は、大阪府では国に先駆けて13年からスクールロイヤー制度が始まっている。大阪弁護士会所属の9人の弁護士が、スクールロイヤーとして府内の小中学校や教育委員会の相談を受けており、今年度からは高校へのスクールロイヤー派遣もスタートした。上記のNHKドラマも、大阪のスクールロイヤー制度の取材をきっかけにして制作されたドラマである。

大阪における「学校と弁護士との連携」については、それなりの歴史がある。02年に府教委が「子どもサポートグループ」を作り、弁護士と社会福祉士(ソーシャルワーカー)を、学校のケース会議に派遣する取り組みを開始した。

弁護士や社会福祉士などの司法、福祉の専門家が学校のサポート役として、学校現場に派遣されるようになったのは、この「子どもサポートグループ」の設置が最初であったと思われる。「子どもサポートグループ」が、その後05年に始まった府教委のスクールソーシャルワーカー(SSW)配置事業につながり、さらに、08年の文科省の全国的なSSW配置事業に発展した。

スクールロイヤーの制度化も、このような学校サポートにおける専門家活用の流れの中で実現したものであり、ここにきてスクールロイヤーが注目されるようになった最大の理由は「保護者対応の一層の困難化」と「いじめ防止対策推進法およびいじめ防止基本方針等の制定」のためである。

保護者対応の困難化は、現在の学校が抱える最大の問題の一つとなっていて、困難化の防止や学校と保護者との適切な関係調整の視点から、紛争解決の専門家である弁護士へのニーズが高まってきたものである。

いじめ防止対策推進法とその基本方針の制定により、これまで学校長の合理的裁量に委ねられていたいじめ対応という生徒指導分野に初めて、法律によって具体的なルールが定められた。その結果、いじめ事案についての事実調査と認定、被害生徒・加害生徒などへの支援・指導方法、保護者への対応方法、重大事案への対応方法などを巡り、弁護士のサポートを必要とする事案が多数発生するようになったのである。

(弁護士・峯本耕治)