カリキュラム・マネジメントとは何か?(4)子供たちを守る責任

上越教育大学教職大学院教授 西川純

子供を大人にするのが、学校の務めです。しかし、社会人にするのが学校の務めだと思っている教員は、どれほどいるでしょうか。小学校教師は中学生にするのが仕事で、中学校教師は高校生にするのが仕事だと思っているでしょう。高校教師も大学教師も学校は勉強を教えるところで、社会人としての能力は勤め先が企業内教育で育てるものだと思っているのではないでしょうか。

勤め先は企業内教育をやめて、学校に社会人を育てることを求めているのです。これは日本以外の国では、学校の務めだと考えられていることです。

このような教育に何年かかるでしょうか。小学校から、社会人になることを意識した教育を始めなければならないのは当然です。にもかかわらず、日本の学校ではなされてこなかった。

あるシンポジウムについて聞きました。そこでは来る社会に対応するため、社会(企業)で必要とされる能力をいかに大学が与えるかの実践が報告されたそうです。その後に、高校生が「大学は勉強したい人が行くところで、仕事に就くために行くところではないと思う。大学はどんなところだと思いますか」と質問したそうです。多くの大学人は喝采を送りました。

しかし、私だったらその子に次のように語るでしょう。

「君のように自分の学びたいことを学ぶために大学に行く人もいる。でも、就職するために大学に行く人もいる。そのような人には、企業で必要とされる能力を確実に学べる大学は必要だと思う。だから、君のように自分の学びたいことを学ぶために大学に行く人は、企業で必要とされる能力を学べるか否かで大学を選ばなければいいよ。君が学びたいことを学べる大学を選んでください。ただし、君が学びたいことを学んで卒業した後に、君を採用し、給料を与える義務は企業にはないよ。君が就職を願うとしたら、自分が採用に値する人であるかを証明する責任は、君にある。だから君が就職するつもりがあるならば、自分の学びたいと思ったことが採用に値するものであると君自身が証明しなければならない。どのような大学に進学するか、君が判断しなさい。ただ、私の子供からアドバイスを求められたら、個人で説明責任全てを背負うのは大変だよ、とアドバイスするね」

これは高校も中学校も小学校も同じです。われわれには子供を守る責任があります。

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