PDCAサイクルは回っているか? 忙しくするだけの改革から新時代の改革へ(5)マネジメントサイクルは回っているか その5

元東京都立西高等学校長 石井杉生

マネジメントサイクルのPlan(計画)段階における課題は、さらにいくつかある。その一つが、学校経営計画を読んでも、そこに掲げられた項目が目指すべき「目的・目標」なのか、目的を達成するための「手段」なのかが分からないという点である。

具体的に説明すると、例えば「土曜授業の実施」を学校経営計画に掲げている学校があったとする。この「土曜授業の実施」は、果たして目的なのか、手段なのかということである。

学校が目指す教育理念や育てようとする児童生徒像を実現するために、学校週5日制の中では難しいと判断し、土曜日の授業を実施しようとすれば、土曜授業の実施は、当然「目的」を達成するための「手段」であると思う。

学校経営計画を読む限り、とても「手段」とは受け取れず、土曜授業実施が「目的化」している場合も多い。では、なぜ「目的」と「手段」の区別がそれほど大事なのか。それは、「目的」であれば議論の余地はあまりないが、「手段」であれば、議論の余地があるからである。

教育理念や児童生徒像なども、最初は当然議論された上で出来上がるのであろう。校長が代わったくらいで教育理念や生徒像がころころ変わるようでは困ったことになる。

目的の教育理念や児童生徒像を校長が交代するたびに一から議論している学校はないだろう。しかし、「手段」であれば、十分に議論の余地がある。

むしろ、自校の児童生徒の実態を踏まえ、目的となる教育理念や児童生徒像を実現するために、どのような「手段」が最も有効かを議論するのはとても大切なことである。この経緯を抜きに実施を決めても、全校の協力体制を得られないことが多い。

現行の教育課程ではなぜ無理か、7時間目を設定することはできないのか、長期休業期間中の取り組みで補完できないか、教育課程外の取り組みとして土曜日に実施するだけでは不足なのかなど、他の方法を十分に検討する必要がある。

これらの議論を通して、土曜授業の必要性が次第に共通理解されるのである。チームとしての協力が不可欠な学校組織にとっては、この議論を尽くすことがとても大事である。

それを「目的」であるかのごとく掲げて、議論をしないまま、校長の決定として学校経営計画に掲げても、決してうまくいかないだろう。

意地悪い見方をすれば、意図的に議論しなくて済む「目的」として、土曜授業実施を学校経営計画に掲げているのかもしれないと思ってしまう。