クオリティ・スクールを目指す(129)小学校英語教育の充実

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

学校の安定へ教委の支援を

新教育課程の実施に向けて小学校が最も課題としているのは英語教育の導入であろう。移行期2年間は15時間程度を総合的学習から拝借して実施ということであるが、すでに今年度から完全実施と同様週35時間実施する学校がかなり増加しているという。

小学校の英語教育については主に学級担任が行うことになるが、①専門的な教育を受けていない②英語指導の経験がない③授業のやり方がわからない④発音に自信がない⑤評価の仕方がわからない――などの困難さを抱えて、プレッシャーを感じる教員は多い。

ただ、ある調査では「早く慣れ親しんだ方がよい」として英語教科化に6割以上が賛成しているという。

英語教育は多様な課題がみられる中で、移行初年度から完全実施はどうすれば可能であろうか。千葉県市川市の実態を田中庸惠教育長などから聞いた。市は小学校36校である。

何よりも各学校が安定して英語教育を実施するために、教委が多彩な方策を講じていることである。

まず、主に中学校向けだが16人のALTを市が特別非常勤として直接雇用している。また小学校には海外生活経験者など英語に堪能な指導員を32人配置している。英語の免許を持つ指導員も多く、週1時間程度授業を行っている。

重要なことは、教員個々の英語力向上であるから、夏休み中に教員対象にセミナーや市内を4ブロックに分けた研修会も実施する。ALTや英語指導員の研修もある。

すでに英語授業が発足しているが、最も教員が頼りにするのは毎日の授業である。一般的に指導案作成が難しいとされているが、市川市は基本的には文科省作成のカリキュラム案をベースにしているという。

この場合、小学校教員にとって最も効果的と思われるのは、英語指導員と授業を共有することで、相互のコミュニケーションが活発化することである。指導スキルの向上が見込める。「早くなれ親しむ」効果がある。

このような学校の指導体制を創り上げるには教委の支援が欠かせない。単なる学校任せでは年間15時間も難しいであろう。

ただ、地域によっては英語指導員の確保が難しいのではないか。効果的な教材の配置も課題である。特に英語指導研修は十分であろうか。

英語教育は特に小学校3年生からスタートとなって、学級担任に大きな負担がかかることになった。

そこで負担軽減のために多様な取り組みが実施されていると考えるが、同時に教師の指導力向上が重要であって、当面のみでなく持続的な課題解決に向けて教委の支援に期待したいと考える。英語教育は未来志向の重要な課題なのである。