カリキュラム・マネジメントとは何か?(7)教師集団がアクティブ・ラーニングを

上越教育大学教職大学院教授 西川純

6回の連載を通して、アクティブ・ラーニングを「どうやるの」ではなく、「なぜやるの」の視点で説明しました。視野が大きく広がったのではないかと思います。では、皆さんの同僚や部下の職員がこの視野に立てるでしょうか。

無理ですね。それでいいのです。経営学のロジャーズのイノベーター理論、ムーアのキャズム理論によれば、人は、イノベーター(2.5%)、アーリーアダプター(13.5%)、アーリーマジョリティー(34%)、レイトマジョリティー(34%)、ラガート(16%)に区別されます。

イノベーターは、新しいものにすぐに飛び付くタイプで、アーリーマジョリティーは、イノベーターが使い続けているのを確認して使い始める人です。ラガートは、最後まで使わない人です(現在も携帯電話を持たない人はいますね)。そして、マジョリティーは68%を占めています。

イノベーターやアーリーアダプターとそれ以外の人たちは求める優先順位が違います。前者は高いパフォーマンスを求め、失敗する危険性も織り込んでいます。しかし、後者の人は安全性を求め、パフォーマンスはそこそこで満足するのです。

例えば、コンピューターを購入する際、マニュアルはほとんどないがハイスペックの海外製品を求める人がいる一方で、性能はそこそこの国内製品を求める人がいます。大多数の人は後者です。

ムーアによれば、イノベーターやアーリーアダプターから、それ以外の人たちに利用者が広がる、つまり、前者の割合である16%の壁を越えて利用されるようになると、爆発的に広がると述べています。

身近に使っている人がいると難しいマニュアルを読まなくても耳学問で済ませられます。例えば、皆さんは携帯電話の使い方が分からないとき、マニュアルを読みますか。恐らく、詳しそうな人に聞くと思います。だから、安全に一定のパフォーマンスを上げることができます。

本連載で述べたことを受け入れられる人は多くありません。それが自然なのです。一方で、それを受け入れられる人もかなりいます。

だから、分かる人が、分からない人に伝える必要があります。私の考えるカリキュラム・マネジメントとは、「子供と教師の一生涯の幸せを保証するために教師集団がアクティブ・ラーニングをすること」なのです。

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