PDCAサイクルは回っているか? 忙しくするだけの改革から新時代の改革へ(7) マネジメントサイクルは回っているか その7

元東京都立西高等学校長 石井杉生

今まで、計画(P段階)の課題を述べてきたので、今回は実行(D段階)の課題に触れてみたい。

この実行段階の課題は、一言で言えば、ジョブアサインメントができていないということである。ジョブは仕事でアサインとは割り振るという意味。つなげれば、仕事を一人一人に割り振ることを意味する。

リクルートワークス研究所の用語解説によれば、「ジョブアサイン力は、マネジャーの部下育成スキルともいえ、どれだけストレッチした目標、役割を与えられるかで、人材の成長も組織力の向上も左右される。ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)によって役割が明確であれば、アサインメントもしやすくなる」と記されている。

今まで、学校経営計画の課題として、「誰が実行しろと言われているのか分からない計画が多い」と言ってきた。それを今回の言葉で言えば、「ジョブアサインメントができていない計画が多い」ということである。二つの例を示しながら説明する。

一つは、担当者が分かりやすい計画である。「生徒に最適な副教材を選択する」という目標を例に挙げる。各教科で副教材の取りまとめをするのが教科主任だとすると、〇月までに各教科は教科会を開催し、どの副教材が現在の生徒にとって最適かを協議・決定、教科主任が教務の担当者に報告する。そして、生徒の選択科目が決定する△月に購入予定数を決定し、販売者に連絡する。

生徒に最適な副教材の選定計画は、いつ誰が行うかが明確な仕事(ジョブ)であり、その業務の進行管理もやりやすい。

一方、経営計画の中には分かりにくい計画もある。例えば、「学習指導」の項目で「考えさせる授業の実践」という目標が立てられたとする。これは、全教員が目指すべき目標であり、結果として、アサインメント(割り振り)がなく、全員の仕事として常に実施することになる。

いつも誰かがやる仕事なら、それぞれが進行管理することになるが、結局はだれも進行管理しないことになってしまう。その結果、誰も成果を明確に評価できないことになってしまう。

では、「考えさせる授業の実践」は、生徒にとって意味のない目標かと言えば、そうでもない。学校全体の授業が改善されるのは、学校経営で大切なことである。

そんな計画をどのように評価したらよいか。全員がやる計画は、生徒全員に評価してもらうしかないと思う。具体的には、生徒による授業評価になる。つまりC(検証)の段階に入る。