クオリティ・スクールを目指す(130)MOOCの研修活用は可能か

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

「主体的・対話的で深い学び」の学校浸透

教職員支援機構による図書『主体的・対話的で深い学びを拓く』(学事出版、2018)を読んだ。特に機構内に設置された次世代型教育推進センターの諸論考は興味深かった。機構の前身は教員研修センターであるが、このような図書発行は初めてであろう。より啓発的な組織となったことに期待したい。

機構内センターは、何校もの実践フィールド校を抱えていて、各校のアクティブ・ラーニング(AL)の3年間の実践について、センター研修協力員(各地域の教員)がそれを観察し、テーマに応じて分析的に解説を行っているものである。

特にALは中・高校の授業実践を大きく変えるものとして影響力が大きいが、その意味では始まったばかりの授業実践の感じであった。研修協力員もまた新たな体験のようである。

ただ、分析視点はそれぞれが独自で興味深いものがあるが、図の中に細かすぎて読みにくいものが多く、レイアウトに工夫が必要である。

ところで、読みながら考えたのは、こうした研究成果を全国の教員に共有する有効な手だてがないか、ということであった。

実は『DHBR』(DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー)7月号にIEビジネススクールのモニカ・ハモリ教授のMOOC(Massive Open Online Course=大規模公開オンライン講座)についての論文が載っていて、それがヒントである。ハモリ教授は企業におけるMOOCの普及状況について述べているのであるが、むしろ大学等の普及が先であろう。

すでに、近未来の「超スマート社会」では子供向けのMOOCが予測されている。教授は次のように述べている。

「対面型の研修に比べ、MOOCのメリットは大きい。受講料が安く、出張費がかからない。日々の職務に影響が少ない。一流大学のコンテンツを提供しており、それらは他の地元提供者にはとうていまねできない内容であることが多い。いつでも開講でき、いくつもの単元に分かれているので、まさに今必要なスキルを取得できる」

なお、IEビジネススクールとは、スペインのマドリッドに本部がある国際教育機関で、経営学プログラムでは世界トップクラスランキングの常連校だという。

わが国において教員研修にMOOCが活用されることの期待大であるが、機構の組織力を考えれば近未来の教員の研修の在り方として実現可能でないかと考える。それは同時に世界的な教員研修のトップレベルを可能にする道でもあって、世界から注目されているわが国の授業の質の高さを広めるチャンスにもなり得るのである。