複雑化する学校トラブル スクールロイヤーの役割(7)心情理解と対応を切り分ける

スクールロイヤーに対する相談で多いのは「保護者対応」と呼ばれるものである。そこには、さまざまな事案が含まれている。よくあるのは「無理な要求をする困った保護者にどう対応するか」である。

保護者の要求には、自己中心的な考えとしか思えないものや、不当とまでは言えないが学校として受け入れることが困難なものがある。このような要求が繰り返し出された場合、直接関わる学校としては、保護者に対して対立的な見方になるのもやむを得ない面がある。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家から助言を受けることで、効果的な対応策が見つかる場合もある。

学校は、これら専門家からの意見を参考に、保護者の行動や考え方の傾向・特徴の背景を理解でき、適度な距離感を保って対応することが可能になる。

教員と保護者の相性がどうしても合わない場合もあるが、全ての保護者と常に良い関係性を保つことはできないと割り切るのも必要だろう。ただ、保護者を理解しようとする姿勢は保ち続けるべきだ。

いじめを例にとれば、学校がいじめの発生を完全に防ぐことは不可能と言ってよい。それでも保護者がいじめで学校を責めるような発言をするのは、自分の子がいじめを受けていることへの不安と心配の表れだと理解する必要がある。

保護者の心情を理解し共感することと、どのような対応を取るかは別問題だと意識することが大切である。心情の理解と具体的な対応を切り分ける必要がある。

心情の理解と具体的な対応の切り分けは、学校の保護者に対する謝罪の場面でも生じることがある。われわれはよく「何かをした」あるいは「何かをしなかった」ことについて謝罪しがちだが、これでは相手方が納得しない場合が多いと感じる。

むしろ、保護者の話を聞く際、相手の落胆、不安、失望といった心情に目を向けたい。心配を掛けたことや不安な気持ちにさせた点を謝罪する方が、保護者としてもその後の対応を前向きに考えることができる。

大多数の教員は、生徒や保護者と誠実に向き合うマインドを持っていると確信している。しかし、それを適切に生かすための言語表現や法的知識、事象の背景を見立てる力のスキルについても持ち合わせる必要がある。

(弁護士 澤田裕和)

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