PDCAサイクルは回っているか? 忙しくするだけの改革から新時代の改革へ(9)マネジメントサイクルは回っているか その9

元東京都立西高等学校長 石井杉生

前回は、C(検証)段階の課題として、集計に要する膨大な作業時間を挙げたが、これはカードリーダーの導入で簡単に解決した。

カードリーダーの導入で、担当者が約1カ月かけていた集計作業は、わずか数時間で終わってしまった。初期投資は、カードリーダーの数万円だけ。マークシートカードは1枚7円で、生徒と保護者合わせて2千枚。合計1万4千円程度、これがランニングコストである。

しかも、このカードリーダー導入には、思わぬ副産物があった。これまでの集計は、例えば入学満足度であれば、「そう思う人」が合計で○人、「どちらともいえない人」が○人という、合計数値しか分からなかった。それぞれのクラスのアンケート用紙を、エクセルを使って手入力していけば一覧表はできるが、それには非常に多くの時間が必要になる。

カードリーダーを使うと、生徒や保護者がそれぞれの項目にどのような評価を下したのかが簡単に一覧化される。全ての評価項目でクロス集計も可能になる。

例えば、「入学満足度」と一番関連が深い項目が何かもエクセルを使えば瞬時に出る。これを分析すれば、本校の生徒は、本校の何に満足しているのかが分かる。「活発な部活動」「工夫された授業」「施設設備」「進路指導」など、具体的に満足している内容を見いだせるのである。

西高の教育目標の一つに「文武二道」がある。在校生は、「文」に当たる「授業や教養講座」などに満足しているのか、「部活動や学校行事」に満足しているのかも分析できる。

平均点も、「どちらともいえない」の評価が多くて真ん中の評価になっているのか、「そう思う」と「そう思わない」の賛否が分かれる中で平均した結果が真ん中なのか(統計的にいえば分散度が高いか低いか)も簡単に分析できる。

それまでは、「そう思う」「ややそう思う」「どちらともいえない」「あまりそう思わない」「そう思わない」の各合計人数だけの集計だった。クロス集計することで、今まで以上に細かい分析が可能となった。

これは、学校の方向性を決めるときに、根拠を持った主張が大切であることを意識付けてくれた点で大きな意味があったと思っている。

例えば、センター試験での個別問題の正解率集計なども、この考え方の延長からなされたものだ。

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