学びがリンクし深化する―遠隔合同授業の可能性―(1)遠隔合同授業の定義、意義

今回から遠隔合同授業に関する連載を始めることになった。遠隔合同授業はこれまで、一般的に遠隔教育、遠隔共同学習、遠隔授業などと呼ばれてきた。定義は数多くあるが、取りあえずここでは「遠隔会議システムなどを利用して、物理的に離れた複数地点を接続し実施する授業」としたい。

一般的にこうした授業は「同期」か「非同期」に分けられる。「同期」というのは、同じ時間を共有するが、空間は異なるものである。テレビ会議システムを活用するようなやり方がその代表例となろう。「非同期」というのは、空間も時間も共有しないというものである。例えば、ウェブサイト上の掲示板や、最近ではSNS(会員制交流サイト)を使うようなやり方がそれに当たる。いつでもどこからでも書き込めて、議論できる特徴がある。

ここでの遠隔「合同」授業とは、どちらかというと同期的な学習の意味合いが強調されている。この連載においては政策でも議論されている同期的な学習を中心に述べていく。

この遠隔合同授業には、どのような意義があるのだろうか。児童生徒から見たときに効果として期待されるのが、コミュニケーション力の育成や彼らの思考の広がりである。遠隔合同授業に取り組もうとしている学校の多くは、学級規模が小さく、児童生徒数の少ない学校・学級である。こうした場所では、常に同じメンバーでしかコミュニケーションを取ることができない、人間関係が固定されているなどの課題を抱えている。他の学校と交流し、さまざまな角度から考えて、より質の高い学習を行えることが、また、人間関係の作り方など、交流そのもののスキルを磨けることが期待される。

一方、児童生徒数の少ない学校の教員にとって、例えば離島では複式学級の指導、専門外の授業が求められるなどの課題がある。そこは、さまざまな情報にアクセスしにくい環境でもある。これらの学校に教員をより多く配置することも、財政上難しい。このような問題点を解消するためにも、遠隔合同授業を実施する意義がある。

この連載においては私が中心で執筆するが、他3人を含め、次回から遠隔合同授業の歴史、関連する政策や技術、実践事例、将来像などを述べる。これを「遠隔合同授業入門」とすることにより、これから遠隔合同授業の実施を考える自治体や学校のきっかけとしていただければと思う。

(寺嶋浩介・大阪教育大学准教授)