複雑化する学校トラブル スクールロイヤーの役割(8)学校事故・部活動

スクールロイヤーとして相談を受ける中で、子供が負傷するケースがある。原因は、けんかや悪ふざけ、授業や部活動でのけがであり、中には教員の不注意による事故もある。

負傷した子供が、骨折などにより日常や学校生活に影響が及んでいる場合もある。負傷した子供の保護者は、子供の将来への不安が大きくなり、加害側に対する怒り、不満や学校に対する怒り、不安が増大している。その中で、学校は各当事者の保護者対応に苦慮するケースが出てくる。特に学校の「責任」を追及したり、他方当事者への要望を学校が仲介してうまくいかなかったりした場合である。当事者間の問題と、各当事者と学校との問題が重なり、事態が複雑化していることもある。

こうした相談では、事故発生時の学校の法的責任の有無について、教員から質問を受けることが多い。簡易に言えば、学校の「過失」により事故が起きた場合には損害賠償義務が生じるが、「過失」は①その事故を予見することが可能であったか②必要な措置を講じていればその事故を回避することができたか――によって判断される。

①は、危険な行為や状況が以前からあったのか、その危険性はどの程度であったか、過去に同様の事故が発生していたかなどが重要である。②は、学校として子供に対し、危険な行為について指導・注意をしていたかどうかが重要である。

学校に法的責任がないと判断されても、学校は負傷した子供への支援や加害側の子供の指導、当事者間の関係修復のために保護者へアプローチする必要があり、学校への責任追及とは区別して対応することが必要である。その中で、治療費や慰謝料など当事者間の金銭問題に対する学校の関わり方、保護者の心情や背景事情から訴えの意図をくみ取って対応する必要性、子供への支援体制を調整し保護者に十分に説明すること、学校で応じられない要望は丁寧に断ることなどを助言することが多い。文章にすれば当然とも思える対応であるが、事態が複雑化した状態で、保護者の言動に振り回されずに教員が対応方法を判断することは困難な場合も多い。法的な考え方だけでなく、保護者の心情や背景事情を理解して対応することが大切である。

スクールロイヤーとしては、これらに加え、負傷した子供の学校生活での支援方法など、子供の最善の利益に資する視点を欠かさないようにして、学校現場での具体的な対応策をアドバイスするよう心掛けている。

(弁護士 足立啓成)