これからの医療的ケア ―実態と課題から捉える (1)学校と医療的ケア


東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

文科省は昨秋「学校における医療的ケア実施に関する検討会議」を設置し、2019年3月までの1年4カ月をかけて、新たな時代の医療的ケアの在り方を検討している。私も全国の教職員を代表して委員に加わっている。医療的ケアの議論は前回の検討会議以来、約5年ぶり。この間の社会状況の変化を踏まえた設置である。

前回時との違いは、会議名称が象徴している。前回は「特別支援学校における~」とあったのが、今回は「学校における~」と、全ての公立学校を含むものになったのである。それを示すように、検討会議の委員には、小・中学校を設置する市教委担当者も加わっている。

なぜ「検討」が必要なのか。グラフは、小・中学校における医療的ケアを必要とする児童生徒数の推移を表したものである。これまで医療的ケアとは、特別支援学校だけの課題と捉えていた方も多いかもしれない。

小・中の医療的ケアを必要とする児童・生徒数の推移

一方で、医療的ケアを必要とする児童生徒が小・中学校などにも在籍し、日常的に授業を受けている事実もあるのだ。つまり、今日における医療的ケアとは、特別支援学校だけでなく、小・中学校、幼稚園、高校など、全ての公立学校に大きく関わっているのである。

現在の学校教育の場で、直接医療的ケアが必要なケースに触れていない教職員もいるであろう。詳細を述べる前に「医療的ケアとは何か」、簡潔に説明したい。

いわゆる「医療的ケア」とは、一般的に学校や在宅などで日常的に行われている、たんの吸引や経管栄養、気管切開部の衛生管理などの医療的な行為を指す。

医師免許や看護師などの免許を持たない者は、医行為を「反復継続する意思をもって」行うことはできないとされているが、12年度の制度改正により、免許を有しない者も、研修を修了し、都道府県知事に認定されれば、特定行為に限定して「認定特定行為業務従事者」として、一定の条件の下で行える医行為は、たんの吸引などの五つ実施できることとなった。

本連載では、こうした学校における医療的ケアについて、現在に至る歴史的な積み重ねから、現状と課題、検討会議を経て、今後どこに向かうのか、その方向性について述べていきたい。