校長のパフォーマンス(89)インナーコミュニケーションの大切さ

eye-catch_1024-768_takashina-performance教育創造研究センター所長 髙階玲治

最近、教育環境も加速度的に情報であふれるようになったが、学校や教員への浸透度はかなり低いという印象がある。新学習指導要領が変わり、多くの情報が伝搬されていても、ほとんど自覚的に受容されていない実態がみられる。

校内でのコミュニケーションの場が極端に少なくなっている。むしろ、個々の職務に専念するという名目で職員会議の回数や打ち合わせの時間を減らす学校も多くみられる。しかし、少ない会議で共通認識が得られ、協働体制が保持できるのは、個々の教員の力量が十分備わっている場合である。若手教員が増加している現状では無理なだけでなく、新指導要領に移行するという課題を抱えている時期では校内の共通認識は必須である。多忙化もあって、それが十分ではない。

現在、学校の働き方改革が多様に論じられているが、改革で必要なのは単に多忙化軽減のみではない。新学習指導要領等で示されているわが国の教育理念実現に学校や教員個々がどのように職務遂行することが効率的かという課題でもある。勤務時間を縮減しながら学校や教員個々に課せられた職務を効果的・効率的にどう実現するかである。その意味でインナーコミュニケーションをどう確立するか、という実際の課題がある。これからの教育実践を考えれば、教員個々がいかに資質・能力を高められるか、という課題が大きい。例えば、小学校教員は多様な教科の授業力や日常の生活指導などを高める必要のみでなく、新たに英語指導力やICT活用力などが必要とされるようになった。教室は閉ざされた空間でもあって、従来は個々の指導に任されることが多かったが、新たな教育課題の実践は任されて実施できるほど容易ではない。複雑化・困難度が増す教育実現には校内の協働体制が必要である。

かつて経営学者のバーナードは組織活性化の条件として、①目標への統合②コミュニケーション③協働の体制――をあげたが、コミュニケーションのない組織は協働体制を作れず、活性化もない。問題は、学校の現状は多忙化でインナーコミュニケーションが容易でないことである。ただし、コミュニケーションは会議や打ち合わせの時間を持つことのみを意味しない。職員室内の雰囲気を高めるなど、教員同士の互いの意思の疎通を図れる工夫が必要である。

学校が掲げる教育ビジョンの実現に向けて教員個々が受容し、相互に啓発しあいながら協働するという雰囲気が基本であるが、とかく多忙化に埋もれがちな教員個々へ校長などが積極的にコミュニケートすることが大切である。また、教員同士が明るく子供の様子を語り合う相互伝達の雰囲気が生まれるよう働きかけることも重要である。相互信頼が学校力を高めるのである。