学びがリンクし深化する―遠隔合同授業の可能性―(3)遠隔合同授業の歴史

前号でも触れられているが、遠隔共同学習の取り組みは2002年度実施の小・中学校の学習指導要領で「総合的な学習の時間」が実施され、インターネット環境が一部の学校に導入されたことを背景に、盛り上がりを見せるようになった。

「100校プロジェクト」以外では、NHK学校放送番組の活用と連動して実施した取り組みがある。それが『インターネットスクール・たったひとつの地球』という環境教育用番組である。番組を視聴するだけではなく、掲示板上で意見を発信したり、学校間をテレビ会議システムでつなぎ、地域の環境問題を話し合ったりする活動が行われた。

これが発展し、01年から「おこめ」という番組がスタートしている。取り組んだ学校がある地域は、米の生産地と消費地でもある。それらの学校が交流し、遠隔地間の児童がテレビ会議を通して協力したり、書籍を作って発信したりする取り組みは大きな成果を収めた。

当時、「遠隔共同学習」といわれたこれらの取り組みは、量的な側面からみれば、00年以降に減少してしまった実感がある。背景には、活動を進めるための高次な授業設計能力や調整が求められた点や、当時のICT環境が不十分だった点がある。00年以降は普通教室でのICT活用実践に関心がシフトしたという理由もある。

ただ、それ以降、遠隔共同学習の流れが途絶えたわけではない。00年代半ばには、離島を多く抱える長崎、鹿児島、琉球(りゅうきゅう)の各大学が協力。各県内の小学校の複式学級をテレビ会議でつなぎ、議論する授業を行った。本連載の後半で紹介するが、現在、これらの地域で再び積極的に取り組まれているのは、こうした経緯があるためだ。

15年以降は、「遠隔合同授業」という名の下で、各地で取り組みを活性化する動きが見られるようになった。それは「人口減少社会」が深刻に語られるようになったからである。これまで、へき地・離島を中心に起きていた問題が日本全体に広がろうとしている。

それまでは子供の減少という文脈で語られることが多かったが、中高校では、専門性が必要な教員の配置を断念せざるを得ない財政上の問題もクローズアップされるようになってきた。

ネットワーク環境が充実し、どこでもやりやすくなったという側面も大きい。導入に向けたハードルがこの20年で大きく下がっている。

(寺嶋浩介・大阪教育大学准教授)

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