クオリティ・スクールを目指す(132)多様性への理解の促進を

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

外国人の子供との共生

『やまと』は、40年以上続いている奈良県教育振興会の会誌である。その7月号に元小学校長で米国の補習授業校の校長もした森本昭憲氏が帰国子女の課題について書いている。

その文中「帰国子女は、外国へ行って言葉で苦労し、帰国して日本の学校に適応するのにまた苦労する」と言われます、という。

日本の子供なのに、日本の学校に適応が難しいのはなぜか。帰国に当たって保護者・本人の最大の関心事は、①いじめに遭わないか②友人関係がうまくいくか③学習についていけるか――だという。

自国に帰るのにワクワク感がなく、心配で不安という心情は、実に残念だと氏は語る。

わが国の生活風土が異質のものを拒み、多様性への無理解を作り出すのであろうか。

実は、このことは帰国子女のみではなく、日本の学校に学ぶ外国人への無理解につながっていないか、ということがある。それは、今までも愛知県等の例が示すような多くの課題がみられた。だが、今後ますます増加するであろう外国人の子供の入学への確かな対応を考えることでもある。つまり、今まで経験してこなかった市町村においても現実になりつつある課題である。

周知のように、わが国は労働力不足から外国人の受け入れ増加を進めている。少子高齢化社会を迎えて必然的な動きである。それに伴って外国人子女が学校に増え始めることも確かである。

そうした動きを反映して昨年『外国人の子ども白書』(明石書房)が刊行された。『白書』であるから多角的に課題を取り上げているが、記述は平明である。事例も多く、参考になる。

こうした図書等を読んで感じることは、多様性(ダイバーシティ)についての子供への教育が不足しているのではないか、ということである。同調性のみが強調され異質なものを排除する傾向から脱却する必要がある。
先にあげた森本氏は、帰国子女の特質をいくつかあげていた。

▽何事にも積極的、前向きで挙手をして意見をしっかり言う態度が身についている▽先生の質問でも、疑問に思ったらどんどん質問する。意見を言う▽生徒会(児童会)や学年・学級の役割などを自ら進んでやろうとする気持ちが強い▽考え方が幅広く国際的な感覚を持っている。

こうした傾向は、むしろ日本の子供が学ぶべきことである。

2020年はオリンピックイヤーである。国際的な共生につながる、多様性を理解・受容し学び取ることが可能な多くの機会や場が生まれる。こうした機会に多様性を楽しむ広い心を持つことの大切さを子供に学ばせたい。