複雑化する学校トラブル スクールロイヤーの役割(10)法律は伝家の宝刀

これまで9回の連載をお読みいただいた感想はどのようなものだろうか。

弁護士が書くものだから、もっと法的でロジカルな内容を期待していた読者も多かったかもしれない。

スクールロイヤーの仕事は、問題行動を起こしたり不登校になったりした子供の「子供観」を見取り、教員が子供と保護者にどう「寄り添う」かを支援するといった、エモーショナルな事柄に通じることが多い。

だから、法的な「きったはった」の取り組みだけでは到底解決できない。

弁護士は法律の専門家として、法理論に精通していなければならないし、その努力と研さんを怠ってはならない。

しかし、それはあくまでも手段であって目的ではない。学校で起こるさまざまな問題を解決するには、切れすぎる法という「刀」を振り回すのではなく「伝家の宝刀」として抜かずに対応することが必要なのである。

この点、現代では、先述のエモーショナルな事柄についても、医療、心理、福祉をはじめとした人間諸科学の知見を導入することで、科学的な分析が可能になっているため、スクールロイヤーは、積極的に取り組む必要がある。

「チーム学校」では、カウンセラー、ソーシャルワーカー、ロイヤー(弁護士)といった異なる専門性を持つ専門家が集まり、最終的な目標を「子供の最善の利益」の実現に置き、学校現場での融合を目指している。

だから、専門家がせめて、それぞれの専門性の「入り口」くらいは理解し、共通の言葉でコミュニケーションを図れるようにした方がよい。

その意味で、見立て(アセスメント)と手だて(プランニング)は、「チーム学校」を支え実質化するための具体的な手段(スキル)になる。

加えて、ロイヤーとしてのオリジナリティーは、法(制度)という社会的な「装置」の功罪、言い換えれば効用と限界を知る者として、見立てと手だてにおける社会的な枠組みの意識付けを提供することにある。それが限界設定という言葉で語られることも含めてである。

あとは、センスのいい弁護士の養成である。そこは、弁護士会としての課題だと心得ている。(おわり)

(弁護士・三木憲明)