肢体不自由生徒の観点から見る~高校の特別支援教育(1) 高校の特別支援教育の現状と課題

横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

高校の特別支援教育の考え方や議論は進んできている。しかし、実際の教育現場で、教育を受ける障害者側と教育を施す学校側の考え方や求めるものが双方で十分に理解されていない。入学への過程やその後の学校生活がスムーズに行われているとはまだ言い難い。

筆者自身、中学3年時の事故で重度の肢体不自由になるも、学校で学びたいという意欲を持ち続け、高校進学の道を模索し続けた。

肢体不自由者が高校進学を希望した場合、主な選択肢は、高校と特別支援学校高等部が考えられる。筆者は、障害のない人々とも交流を深めながら勉強した。将来のさらなる進学を見据え、多くの支援を受けて高校の入学と卒業を果たした。肢体不自由者が高校に入学し、学校生活を送るためには、現状まだまだ多くの課題が存在することを経験から実感した。

学校選択では、肢体不自由者の希望に沿って、どこの高校でも受験・進学できる状況にない。一方的に門前払いされたり、入学時に子供と保護者が過度の努力や支援を求められたりするケースもいまだに存在する。子供が高校への入学を強く希望しても、その時の人の巡り合わせや状況で断られているケースがあり、当事者側も納得しがたい場合がある。

さらに、肢体不自由者が高校へ進学し、学校生活を送るためには、入学試験、施設・設備面、授業内容・成績評価、日常的な介助者など、あらゆる面で特別な対応が必要になる。しかし、肢体不自由のある生徒に特別な対応を用意し、どの程度の対応を認めるかの決定は、各教育委員会や高校独自の裁量に委ねられている。そのため、各学校でバラバラな対応になっている。

実際に肢体不自由者が高校に進学した事例が学校間で共有され、蓄積されることもない。生徒と保護者、進学に関わった高校の中だけの事例で完結している場合が多い。

今後の連載では、筆者が教委、全国の高校、肢体不自由者に対して実施した研究成果を示し、肢体不自由の観点から高校の特別支援教育の課題と今後を考えていく。