これからの医療的ケア ―実態と課題から捉える(4)学校の医療的ケアの歴史③

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

医療的ケアを巡る歴史の3回目は、現在の学校の医療的ケアに至る流れを述べる。

■医療職以外のスタッフによる医療的ケア実施の拡大

社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正(2012年4月施行)により、教員や学校介護職員などの看護師以外のスタッフでも、指定研修の修了者が都知事の認定証の交付を受ければ、特定の医療的ケアを実施できるようになった。その結果、違法性阻却(そきゃく)の考え方に頼らずによくなった。

副次的な業務でも本務に関係する業務として、校長は教職員に医療的ケアを行うよう命じることもできるようになった。この場合、本人の承諾は不要である。

■文科省が「学校における医療的ケアの実施に関する検討会議」を設置

約5年ぶりに検討会議が設置され、「人工呼吸器の管理等の行為を実施する際の留意事項」「校外学習、宿泊学習などで医療的ケアを実施する際の基本的な考え方の整理」などの具体的な検討事項が示され、踏み込んだ検討が進められている。

学校で教員が行える医療的ケアの内容と範囲

各都道府県や市町村教委が、地域の実情に応じた、充実した医療的ケアの実施体制も推進する。肢体不自由以外の障害種別に対応した特別支援学校、小・中学校などで医療的ケアを必要とする児童生徒の増加に合わせ、各地域でさまざまな医療的ケアの実施体制の改善と充実、工夫が図られている。

東京都では、これまでスクールバスの利用ができなかった医療的ケアの必要な児童生徒に対し、今年9月をめどに専用通学車両を全ての肢体不自由特別支援学校に導入することを公表した。学習機会を拡充するのが目的だ。都立特別支援学校の人工呼吸器の管理モデル事業に、光明学園を指定することも発表している。

保護者、家族、教職員と医療、福祉、教育、PTAなどの団体が、特別なニーズを有する子供たちにより良い教育を受けさせたいという思いを抱いていた。そんな人たちが当時の社会状況を踏まえ、多くの時間をかけ、手を取り知恵を出し合い作り上げたのが現行の制度である。

その前提は、生命や安全を基盤に医療的ケアによって健康を整え、その上に充実した教育を日々積み上げていくことである。

今、当たり前のことも、十数年前は想像もできなかった。保護者と多くの方々の努力で作り上げたのが現在の制度である。感謝を込めて次世代に引き継ぎたい。

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