これからの医療的ケア ―実態と課題から捉える(5)就学の形変えた法律と通知

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

今回は、学校の医療的ケアに関する法律や通知について説明する。

■医療的ケアに関する法律

喀痰(かくたん)吸引などの医療的ケアは、2012年施行の改正社会福祉士及び介護福祉士法で定められた。この法令により、医療職以外のヘルパーや教員らが医療的ケアを行う場合の研修が定められ、厚労省と文科省は喀痰吸引などの研修に関するテキストを作成した。

医学の進歩を背景に、NICU(新生児集中治療室)に長期入院した後、引き続き、たんの吸引や経管栄養、人工呼吸器や胃ろうなどの医療的ケアを日常的に必要とする障害児が増加したことが理由に挙げられる。グラフのように10年前と比較して約2倍に増えている。

医療的ケアが必要な児童生徒を、最近は医療的ケア児と呼ぶことも増えている。この医療的ケア児は、生きていくための日常的な医療的ケアと医療機器が必要である。

その実像はさまざまだ。手足や体幹が不自由で、専用の車いすやストレッチャーを常時使用する重度心身障害の児童生徒もいれば、元気に校内を歩いて移動したり保護者と街に外出できたりする児童生徒もいる。

■地域の医療的ケア児の支援体制整備

通知「医療的ケア児の支援に関する保健、医療、福祉、教育等の連携の一層の推進について」(2016年6月3日関係府省部局長連名通知)は、地方公共団体などに発出された。教育や福祉、保健・医療の垣根を越えた連携体制を構築することを示す。

通知は、医療的ケア児や保護者の意向を可能な限り尊重し、都道府県と市町村教委が連携することを求める。関係部局や関係機関とも連携しながら、医療的ケア児や保護者の教育的ニーズに一層適切に応えることも盛り込んでいる。

さらに、「学校で医療的ケアを行う看護師などの確保と、看護師などが学校で医療的ケア児に必要な対応を行うための研修機会の充実」も掲げる。

これまでは、医療的ケアに関わるのは「特別支援学校」というのが通例だったが、「学校において」と広く公立学校を前提にした記述になった。

医療的ケア児の増加とともに、近年、就学の仕組みが大きく転換された。そのため、子供の医療的ケアが必要なため肢体不自由校に就学するのが大前提にならないケースも増えていると推測される。