肢体不自由生徒の観点から見る~高校の特別支援教育(4)学校教職員の専門性

横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

肢体不自由の生徒をサポートする上で、「特別支援教育コーディネーターの活用」や「専門性のある教員の配置」に関する課題もある。

特別支援教育コーディネーターは、学校の特別支援教育を推進するため、主に校内委員会や校内研修の企画・運営、関係諸機関や学校との連絡・調整、保護者の相談窓口の役割を担う。

筆者が全国の全日制、定時制課程の高校4939校(2015年度・学校基本調査参照)に実施した調査では、回答校全体(1536校)の特別支援教育コーディネーターの配置状況は約70%だった。

ただ、特別支援教育コーディネーターが配置されているのにもかかわらず、障害に関する専門性の不足や役割の理解不足で十分に機能していない現状もある。

高校の特別支援教育コーディネーターからは、「困り感に気付いていても、何の要請もなく自分からクラスに入ってサポートはできない」や「高校では、クラスの子は担任が見るという意識が強く頼りにくいのでは」といった声も聞かれる。

形式的に配置するだけではなく、実際に機能させるため、研修の充実や役割の周知徹底が求められる。

高校では、基礎的環境整備として挙げられている「専門性のある教員の配置」も十分とはいえない状況にある。前述の全国高校調査で回答があった高校886校の57.7%で、特別支援教育教諭免許状を所有する教職員が勤務していないことが分かった。免許状を保有する教職員が勤務している高校でも、各校1~2人の配置で、特別支援教育の専門性を有した教職員はまだまだ少ない。

研修の実施状況を見ても、特別支援教育全般の基礎的知識、発達障害のある生徒の教育的支援に関する研修は多くの学校で実施されているが、肢体不自由に関連する研修の実施率は低い。肢体不自由に関連した研修は、実際に肢体不自由の生徒の入学が決定し、支援や対応が必要になって初めて実施される場合が多い。

肢体不自由とひとえに言っても、原因疾患も多様で、個々に求められる教育的ニーズも大きく異なる。まず肢体不自由に関する基礎的な知識を教職員の方々にも理解していただきたい。

今後、特別支援教育コーディネーターをはじめ、特別支援教育の専門性を有する教職員の配置を着実に行うことで、肢体不自由な生徒の高校への就学が推進されるよう望む。