学びがリンクし深化する―遠隔合同授業の可能性―(7)最近の実践例(2)効果的な学習活動のポイント

文科省の遠隔合同授業の委託事業で、熊本県高森町と鹿児島県徳之島町は、小規模の学校や離島・山間地の教育課題の解決を目指し、3年間の継続的な取り組みを進めた。実践では、試行錯誤しながらも確実に児童生徒の学力向上が実現した。これらの実証地域にアドバイザーとして関わり、共通に見えてきた成果と学習活動のポイントとして、次の三つを挙げる。

①多様な考えで学び合う学習活動

小規模校では、児童生徒の価値観や人間関係が固定化されがちで、多様な考え方やものの見方を学ぶ機会が少なくなる。多様な考えに触れることができる遠隔合同授業によって、主体的・対話的で深い学びの展開にもつながる。例えば、算数の問題解決学習では、複合立体の体積の求め方で多様な解法を学校間で共有。よりよい解法をまとめる学習を実践した。算数以外の教科でも、多様な考えを共有しながら、互いに比較考察する深い学びが行えた。

高森町でのJAXAとの遠隔合同授業

②コミュニケーション力の育成を図る学習活動

各教科ではプレゼンテーションや討論会といった集団学習を取り入れたり活用したりする単元や題材がある。これらの学習活動はコミュニケーション力や情報活用能力の育成に極めて重要である。ただ、児童生徒数が少ない小規模校ではプレゼンテーションや討論会を単独で実施するのが困難な場合も多く、学級内で役割を分担するのも容易ではない。遠隔地の学校と学級を結んだ合同討論会などでコミュニケーション力の育成につながる効果的な指導が展開できる。

③専門家や専門施設を生かした学習活動

学校と遠隔地の専門家・施設をテレビ会議などで結ぶ学習は、児童生徒の学びをより深化することが可能になる。小学校の外国語活動や中学校英語の授業では、テレビ会議でALTのネーティブな発音に毎週触れることができる。中学校理科では、生徒が身近な天体について、宇宙の専門家である宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究員に発表する学習も進めた。

実証地域では遠隔合同授業の際、何のためにつなぐのか、どのような内容で交流・協働するのかが明確になってきた。学校間をつないだ学びの意味を十分に共通理解し遠隔合同授業を進めていくことが重要だといえる。

(山本朋弘・鹿児島大学大学院准教授)

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