これからの医療的ケア ―実態と課題から捉える(7)学習機会の拡充②

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

医療的ケアが必要な児童生徒の入学が進むと同時に、通学手段の課題が浮き彫りになってきた。体力的には、学校に通学できるにもかかわらず、自家用車を持っていないなど、保護者が通学手段を確保できない家庭があることが分かってきた。

就学相談の段階で、両親や主治医からの「学校という集団の中での教育を受けさせてほしい」という意見は大きい。保護者からは「医療的ケアがあるので、保護者の同乗によってスクールバスを利用して登校したい」との声も上がっている。

しかし、揺れる車中での医療的ケアのリスク、バス運行会社の業務範囲、登校時刻に合わせた定時運行の必要性などから、保護者の同乗は認められないできた。スクールバスの通学が困難なため、在宅訪問籍として自宅で学ぶ子供に対しては、スクーリング時に福祉タクシーを利用した登校が見られるようになった。

学校生活や登下校時の保護者の付き添い人数

厚労省が2016年5月に行った調査では、医療的ケアが必要な児童生徒の4割弱が、保護者の付き添いが週5日ほど必要という結果が出ている。2010年ごろから全国でこのような課題が顕在化している。

大阪市教委は16年度から医療的ケアが必要な児童生徒に、看護師の付き添いの下、介護タクシーで通学する事業を立ち上げた。週2回、介護タクシーを配車し、看護師が付き添って学校まで送迎する。

17年2月、都教委は、都立の肢体不自由特別支援学校の全18校に対し、乗車中の医療的ケアが必要なため、スクールバスに乗車できなかった児童生徒専用の通学車両を18年9月から運行するとの施策を公表した。従来のスクールバスより小型な専用車両で、2人の児童生徒を乗車させ、同乗の看護師1人が安全を確保し、必要が生じれば、医療的ケアを実施する方式である。

都教委は、訪問学級に在籍する児童生徒がスクーリングを行う際の福祉タクシーなどの費用として就学奨励費を充てている。医療的ケアが必要な児童生徒の学習機会の拡充を進めている。

こうした動きは「障害者基本法」の改正、「障害者の権利に関する条約」の発効、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法)の施行など、障害者施策の法整備が進んだことが大きく影響している。

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