学びがリンクし深化する―遠隔合同授業の可能性―(8)最近の実践例(3)多様なICT活用と日常化

山口県萩市では、市立佐々並小学校と明木小学校の2校が文科省委託事業に関わり、継続的に実践をしてきた。2校は同じ中学校区にあるものの、10キロほど離れている。多様なICT機器を駆使した日常と同じような授業スタイルを構築している。

受信側の学校から見ると、相手校の教師がT1になって、教室の画面越しに指導をしてくれる。受信校にはT2の担任教師がいる。T2はT1とやりとりしながら授業を進めたり、個別学習をフォローしたりする。

グループ学習では、タブレット端末を利用して、相手先の児童と算数の計算過程を説明し合っていた。全体発表の場面では、教室の後ろを向いて、別に配置されているディスプレーを見ながら、児童同士で交流する仕組みができている。

愛媛県西条市の日常化を意識した遠隔合同授業

ICTを生かした日常的な授業の実践のためには、一つの単元で毎時間、合同形式の授業を進めないことが重要になる。単元や1回の授業の中でICTが必要な部分や場面を明確にすることが大事だ。

同じ委託事業の中でも、異なった実践形態を取る学校もあった。愛媛県西条市は、2校の交流で、写真のように前方のスクリーンと共に横にもスクリーンを配置した。こうすることで、前方スクリーンに教師を映し出しながら、横には、授業を受けている児童を映し出す。遠隔合同授業の日常化を意識する中で、臨場感を大切にしていることが分かる。お互いの学校が、あたかも同じ場所で授業を受けている感覚を生み出そうとしていた。

私が西条市で見たのは「道徳」の授業だった。子供の感じ方が相対立する二つの事象のどちらに近いかを個々にプロットする展開だ。電子黒板への記述は相手校に同期される仕組みになっていた。

ICTの位置付けに関するそれぞれの実践を紹介した。ICT活用を支える授業設計では、管理職が学校のタイムスケジュールなどを調整した上で、実践する教師同士の打ち合わせを行う、二段構えの取り組みが多い。個々の教師だけに任せない点もポイントになるだろう。
(寺嶋浩介・大阪教育大学准教授)

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