肢体不自由生徒の観点から見る~高校の特別支援教育(6)技能教科の在り方を再考

横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

肢体不自由な高校生が、学校の学びで最も困難を抱えるのが「技能科目」である。

肢体不自由な高校生がいる110世帯に質問紙調査を実施したところ、肢体不自由のために学習が最も困難な教科・科目として「保健体育」を挙げている。回答者の半数以上が他の生徒と同じ内容の運動を行うことに困難さを抱えている。

現状では、障害の部位や程度にかかわらず、肢体不自由がある生徒の体育授業への参加は十分に保障されていない。別課題、見学、教室での自習となり、学習の制約を受ける場合が多い。

生徒は、「自分ができることを評価してほしい」「生徒に合ったプログラムを組み、その達成度で成績をつけるべきだ」という意見を示している。可能ならば体育の授業に参加したいと考える生徒もいる。

成績や評価に対する不満も見られた。「中高校の学習で一番不満だったのは、肢体不自由のため体育の成績が必ず2になること」「体育の授業は受けても受けなくても1か2。レポートを出しても2」といったものだ。

例えば、指定校推薦で大学進学を考える場合は、評定平均値が重視される。すると、肢体不自由の生徒は、高校3年間の体育の低い成績が大きな不利益になる。これは、進路の可能性を狭めることになりかねない。

近年、障害児と健常児が同じクラスで授業を行うインクルーシブ体育の重要性が指摘されている。2017年7月に文科省が公表した中学校学習指導要領解説・保健体育編には、「豊かなスポーツライフの実現を重視し、スポーツとの多様な関わり方を楽しむことができるようにする観点から、体力や技能の程度、性別や障害の有無等にかかわらず、運動やスポーツの多様な楽しみ方を共有することができるよう、共生の視点を踏まえて指導内容を示す」とインクルーシブ授業の必要性を明記している。

体育で生徒の状況に応じたルール設定や場の工夫を行い、生徒に運動のさまざまな楽しみ方や関わり方を学ばせるのは大切である。

肢体不自由の生徒の体育授業は、体の動きに制限があるため、生徒の希望と関係なく、いつも見学やレポートという在り方はどうなのか。安全面に考慮しながらも健常者と可能な限り共に学べる体育の在り方を検討する必要がある。

そのような学びの方向性の中で、肢体不自由生徒の成績評価の取り扱いが議論される必要がある。

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