これからの医療的ケア ―実態と課題から捉える(8)学習機会の拡充(3)

東京都立光明学園統括校長 田村 康二朗

医療的ケアの課題は、平成に入って以降、大都市圏を中心に大きな課題として表面化した。この背景には、ノーマライゼーションの理念に基づく在宅生活の広がりや、医学・医療技術の進歩、在宅医療の諸施策の推進と医療的ケアが必要な児童生徒の在宅でのケアの拡大が挙げられる。

かつての医療的ケアは、障害の程度に応じて特別の場で指導を行う「特殊教育」だった。しかし、2007年からは、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育を推進。「つながりのある特別支援教育」「全ての学校における特別支援教育」「自立と社会参加を目指した特別支援教育」へと発展してきた。

こうした時代変化を受け、医療的ケアが必要な児童生徒が地域の学校に就学を希望するニーズも高まってきている。

在宅医療と学校における医療的ケア

下表「在宅医療と学校における医療的ケア」が示すように、今日の在宅医療は、医療技術も日進月歩である。在宅医療の理念の下、子供たちは家庭で家族と共に生活しながら、ある一定の治療効果を上げ、病状が安定する中で治療の必要がないため退院していく傾向がある。

児童生徒の医療的ケアの性質や内容は、▽急性期の治療の一環として行っているケアではない▽健康の維持・増進、障害の状態の改善・克服につながるケアである▽より良い状態で教育が受けられるようにするためのケアである▽保護者が医師から指導を受け家庭で行っているケアである――を満たす必要がある。

これらを受け、学校の医療的ケアの位置付けは、▽児童・生徒の教育活動の目的の達成のために行う▽児童・生徒の成長・発達に必要な支援である▽たんの吸引・経管栄養は、呼吸障害・摂食障害への対応の一環である▽授業への意欲を高め、授業に集中できる心理的な環境づくりとしてのケアである――ことが求められる。

生命の維持・増進の基盤に立って学校生活のクオリティー・オブ・ライフを高める視点で取り組むべき課題とも言える。

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