学びがリンクし深化する―遠隔合同授業の可能性―(9)最近の事業成果

学校規模の維持が課題になり、遠隔合同授業の必要性が指摘されるようになっている。文科省は、「人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上に係る実証事業」を2015年度から17年度にわたって実施してきた。

その成果は、これまでの連載でも紹介してきた。詳細は「遠隔学習導入ガイドブック」にまとめられている。現在は第2版まで出ており、インターネット

で閲覧できる。この事業は、3年間にわたり遠隔合同授業の効果的な授業実践やその実現に向けた環境整備を実証研究で明らかにしてきた。

遠隔学習導入ガイドブック第2版

現在は、研究対象の範囲が徐々に変わってきている。授業では、本時レベルから単元レベル、年間指導のモデル開発へと発展している。学習場面でも、当初は導入方法が対象だったのが、どの部分で活用するのがより効果的かと、場面を明確にするようになった。

第2版のガイドブックは、第1章で遠隔合同事業を行うことの意義や実際に行われている事業例と効果などが示されている。遠隔合同授業をこれから実施しようと考える自治体に役立つ内容になっている。

第2章は、遠隔合同授業を日常的に実施するための工夫が記載されている。具体的な学習活動だけではなく、授業体制をどのように作り、計画をどう立てるか、実施上の留意点までも説明している。

これまで触れてきたように、遠隔合同授業の実施は、学校単位で取り組むことが必要だ。ガイドブックには、主に実践者に役立つ内容が盛り込まれている。しかし、それは個人の努力で取り組めるレベルではなく、学校で何をするのかをまとめているのである。

第3章には、社会教育での実施について書かれている。第4章では、遠隔合同授業を支えるICT環境を説明。機材の整備や配置、運用について述べられている。これらも一筋縄でいかないことは、これまでの連載で説明した通りである。

このガイドブックは、小・中学校を対象にしているが、高校の遠隔合同授業の技術や授業づくりで共通することも多い。一方で、学習内容の専門性や教員配置が異なるため、全てを参考にできるわけではない。

「多様な学習を支援する高等学校の推進事業」の一部では、遠隔合同授業をテーマにしているものがあるので、その事例を併せて参照するといいだろう。

(寺嶋浩介・大阪教育大学准教授)

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