肢体不自由生徒の観点から見る~高校の特別支援教育(7)学校行事の配慮

横浜国立大学教育学部博士・高野陽介

文科省の「合理的配慮」の観点の中に記載はないが、高校に在籍する肢体不自由生徒と保護者が学校側にサポートを求めているのが「学校行事の配慮」である。

筆者が全国の高校に実施した調査では、実際に肢体不自由の生徒を受け入れているか、受け入れたことのある学校462校で、学校生活全般で最も対応が可能と考えていたのが学校行事の配慮だった。全体の約9割が十分に対応できていると捉えている。

しかし、肢体不自由の生徒とその保護者を対象にした110世帯への質問紙調査では、「保健体育」の次に参加が困難な項目として挙げているのが「学校行事」だった。学校側の意見とは相違がみられる。実際、生徒の保護者からは、生徒を学校行事に参加させるための努力や苦労の声が多く聞かれる。

例えば、「修学旅行などで親元を離れる際、夜間だけ鼻マスクの人工呼吸器を着ける必要がある。それが医療的ケアに当たるというので大問題になる。そこで知り合いの看護師にお願いして、なんとか自力で対応してくれる看護師を見つけた」というものだ。宿泊学習に帯同する看護師を保護者が見つけて対応するケースがある。

学外学習の際、医療的ケアを誰が担うかというのは、大きな問題になる。

校外学習の時に親子で下見に行く例がある。「学習で他の子に迷惑を掛けず一緒に行動できるよう、息子が一度はお母さんと一緒に行っておきたい」といった声も上がっている。生徒と保護者が入念な準備をし、できる限り他の子と同じように学校行事に参加できるよう努力している場合がある。

学校行事の配慮がなされるかは、学校に応じてばらつきがある。肢体不自由生徒の学校行事への参加は、生徒が学校生活を送る上で大きな意味がある。実際、対人関係やコミュニケーションへの悩みと問題を抱える肢体不自由生徒は多い。肢体不自由生徒が、普段の学校生活とは異なる行事活動を経験することによって、人間関係を再構築したり、友達の新たな姿や一面を知り交友関係を深めたりすることへつながる。

学校行事は、教科学習に比べ、支援や対応の意識が届きにくい。しかし、生徒同士の交流や経験を広げるためには、学校生活では重要である。肢体不自由生徒と保護者が学校と十分に対話した上で、適切で合理的な配慮の在り方を検討することが必要になる。肢体不自由の生徒が可能な限り学校行事に参加し、その活動が人間関係の構築に寄与するよう支援していくことが大切だ。

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