学びがリンクし深化する―遠隔合同授業の可能性―(10)未来に向けて

この連載もいよいよ最終回を迎えた。最後は最終回らしく「遠隔合同授業の未来」で締めたい。

日本の将来について機械的な対処をすると暗い未来が待ち受けている。人口減少社会の中で、財政上、教員を減らさざるを得ない。教員を補うため、遠隔合同授業を実施する。そういうシナリオである。

これは、高校ですでに関心が高くなっている。今後、そうした流れが中学校にもシフトすると考えられる。小学校もひとごとではない。今は英語の教科化が話題の中心だが、扱う内容が増えると専門性も問われるため、高校と同じ論理で遠隔合同授業が導入される可能性がある。

日本を明るい未来に変えるためには、遠隔合同授業の意義を生かす必要がある。ICTによって、これまで会えなかった人とつながり、新たな学びへと発展させることもできる。ICTの力を借りて、交流をより活発化させることもできる。ただ、それには条件が伴う。「ICTをより身近な道具として徹底的に使い倒すこと」である。

この連載では、遠隔合同授業の範囲を同期的なICT活用にとどめた。しかし、未来では、さまざまなICTを使い、実際に対面する以上に人々とつながり合う環境を創出するべきである。そのためには、日常的に使えるICT環境の整備が必要になる。テレビ会議システムを一つ入れた程度では、問題は解決しない。

この連載タイトルには「つながり深まる学び」という思いが込められている。それは新学習指導要領を意識している。

ICTの力を借りれば、技術的には「つながる」ことができる。そのため「遠隔合同授業を」ということだが、それで本当に効果的な学びになるだろうか。

児童・生徒がどのようにつながればより効果的か、どのような学習をすればより学びが深まるかを深く考えなければ、一気に暗い未来を迎えてしまう。

これらのことがしっかり考察されていないと、指導技術の高い教員に仕事が集中してしまう。多くの教員にとっても、未来はなくなるだろう。授業を充実させようとしない教員は切り捨てられるからだ。

未来のどんな現象も、どう見るかで見え方が異なる。深刻な人口減少社会に直面し始めている今、遠隔合同授業は現実的な対応策としていち早く提示されている。

私たちがこれをどう乗り越え、明るい未来を創っていくかが試されようとしている。

(おわり)

(寺嶋浩介・大阪教育大学准教授)