クオリティ・スクールを目指す(135)ゲーム依存は深刻な病に

eye-catch_1024-768_takashina-school教育創造研究センター所長 髙階玲治

若者が陥りやすい精神疾患

最近、街頭で片時もスマホを離さない若者の姿を見かけることが多い。スマホの普及は急激で中高校生や小学生にも広まっている。

こうした事態は国際的なもので、生活に支障をきたすオンラインゲームに没頭する依存状態を、世界保健機構(WHO)が最近、国際疾病分類に「ゲーム障害」として精神疾患に位置付けた。

その「ゲーム障害」はどのようなものなのか。樋口進(独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター院長)が『文藝春秋』9月号に「『スマホゲーム依存』が若者の脳を破壊する」という一文を寄せている。スマホは生活に欠かせない便利な道具であるが、スマホゲームは手軽でお金がかからない遊びとして安易にはまりこむという。しかもギャンブルやアルコール依存症と異なって、低年齢でも依存行動を繰り返すようになる。

例えば、Aさんは、中学入学と同時に親からスマホを買ってもらったという。もともとは学級委員長なども務め、友人も多く運動が得意な活発な少年だった。友人の間で流行していたゲームをやり始めたのは2年生になってからで、最初は10分程度だったのが、面白さにはまり夜通しプレーするようになったという。次第に、朝はだるく、学校も休みがちになった。完全な昼夜逆転の生活になるまで、ほんの3カ月程度だったという。

「ゲーム障害」になってからでは遅すぎる。事前に親など周囲が依存行動を発見し、障害から身を守ることができないか。

樋口院長は雑誌の記事とは別に「スマート依存スケール」を提示している。全てを載せることはできないが、例えば「スマホ使用のため、予定していた仕事や勉強ができない」「(使う前に)意図していたよりもスマホを長時間使ってしまう」「スマホを使っていない時でも、スマホのことを考えている」「スマホが毎日の生活にひどく悪影響を及ぼしていても、スマホを使い続ける」。「全く違う」から「全くその通り」まで6スケールで評価している。

樋口院長は治療も行っているが、対象は「過剰使用」と「問題が明確である」という二つだという。後者は、昼夜が逆転している、成績が下がる、学校に行けなくなる、食事をとらず痩せていく、などの症状がみられることである。

患者の3分の2は中高校生であるが、最近は小学生や30~40代の社会人も増えている。

学校もまた「ゲーム依存症」について指導を強化すべきであろう。特に保護者への啓発や連携が大切で、過度のスマホ依存にならないために、使用する場や時間を決めるなど、ルールをしっかりと定めることが大切であると考える。

「ゲーム障害」の具体的な症状の第一は「ゲームのコントロールができない」ことだとされるが、コントロールする力は多様な場面でも必要とされる「力」であって、生活行動をコントロールする力の形成に大きくつながるのである。

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