ダークペダゴジー ― 教師をむしばむ負の指導法(3)脅迫的反省指導の問題点

東京電機大学助教 山本 宏樹

万引、喫煙、いじめなどの問題行動に対する指導で重要な達成目標になるのが「生徒の反省」である。反省を深めることは罪を償うためだけでなく、同じ過ちを繰り返さないために自分を見つめ直し、問題行動の原因を取り除くためにも重要である。

生徒の反省の深まりを知ることは現実的に難しく、生徒の態度から類推する他ない。そのためか、反省指導の中には、脅迫や懲罰に頼ることで生徒を萎縮させ、「形だけの反省」へ拙速に帰着させている場合が少なくないと見受けられる。

例えば、一般的な反省指導の方法に反省文がある。前回紹介した10代に対する指導体験の調査では、約1割の人が中高校在学中に反省文を書いた経験があった。

誤解がないように言えば、反省文指導が常に理不尽で無効というわけではない。反省文を元にした教師との対話の中で生徒の反省が深まることは十分にあり得る。しかし、単に格調高い反省文を書かせる形式的な指導に堕していることも案外多いのである。しかも内容が不十分な場合に「反省が足りない」と突き返すばかりで、どこをどのように深めていけばよいのか教えないこともある。

インターネットで検索すれば、そうした無軌道な反省指導に困り果てた生徒がQ&Aサイトで「正しい反省文」の例文を紹介してもらうログがたくさん見つかる。

口頭での反省指導でも、かつて連合赤軍が「総括」と称したような、過酷な脅迫的指導が用いられがちである。「なぜ怒られているか言ってみろ」と自己批判を要求する。生徒が思い付く限りの自己批判をしても「分かっていない。だからお前は駄目なんだ」と自己批判の不徹底さを指摘され続けるのである。

指導は、宿題忘れや遅刻のような具体的な問題行動のみならず、だらしのない人格批判にまで拡張していく。望ましい反省の基準や問題解決への具体的助言もなく、延々と自己批判ばかりが強制される。

こうした指導は、問題の原因を分析して再発を防止するという科学的な指導ではない。犯した罪に対する応報罰を科して精神的に痛めつけるものだ。「もう二度とこんな思いはごめんだ」「自分は駄目な人間だ」と思い知らせる「マウンティング」である。

生徒側の反省プロセスを無視して圧力ばかりを強めると、生徒は反省の手掛かりを失う。「反省的な態度」を整えることに終始した揚げ句、同じような過ちを繰り返すことになる。教師がそれに失望を感じて懲罰的指導を強めれば、指導はいっそう悪循環に陥っていく。

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