イエナプラン ―インクルーシブな学びの実現―(2)三つのコア・クオリティー

日本イエナプラン教育協会特別顧問 リヒテルズ 直子

イエナプランは、メソッド(方法)ではなくビジョン(理念)である。

イエナプラン校の教員たちは、ビジョンを共有した上で、現場の子供たちのニーズに即した自由闊達(かったつ)な実践の創意工夫を尊重する。

「イエナプランはオープンモデル」と言われるゆえんだ。メソッドは、学校や教員がニーズに即して選択的に採用したり、独自に編み出したりするのである。

それぞれの学校が、子供たちや保護者のニーズに合わせた異なる実践をする一方、イエナプランの教育者たちが自らのバックボーンとするビジョンの具体は何か。それを言語として表す努力は、オランダのイエナプラン教育の普及過程で、3度行われた。

第一はフロイデンタールが1966年にまとめた「8つのミニマム条件」だ。①インクルーシブ思考②人間的で民主的な学校③対話の重視④経済・政治・宗教や他団体の利害からの独立⑤学校の真正性(本物性)⑥生と学びの共同体である学校の成員(子供、保護者、教員)が共有する自律的秩序に基づく自由⑦批判的に考える人間の養育⑧創造性の重視――である。⑤の「真正性」とは、学習対象が本物であることや教員自身が型にとらわれない本物の自分らしい存在であることを指す。

学校数が増え、イエナプラン教員養成コースが整備される中、90年代にオランダ・イエナプラン教育協会が、会員の全員一致で採択したのが「20の原則」である。これは、人についての5項目、社会についての5項目、学校についての10項目からなる。いずれもイエナプランが理想にする人間像、社会像、学校像をうたっている。

「人」は誰でもユニークな存在として自分らしく発達でき、人格を認められ、文化の担い手、改革者として生きることを示す。人は「社会」のためにお互いの価値を尊重する点も挙げる。公正、平和、建設性に基づき、自然や文化的資源を将来の世代に受け渡すべく地球と世界社会を尊重することを示している。「学校」は、そのためにどうあるべきかをまとめている。次回以降で詳述する。

2008年に、オランダ・イエナプラン教育協会はコア・クオリティーとして、イエナプラン校が目指す教育の質を三つ挙げた。①自分自身との関係②他者との関係③世界との関係――である。これは、オランダの教育監督局などの外部に対する質の保証になっている。イエナプラン校が相互に自主的な向上努力を続ける指針にもなっている。

日本イエナプラン教育協会も「20の原則」とコア・クオリティーを日本のイエナプラン教育関係者の指針として継承している。