ダークペダゴジー ― 教師をむしばむ負の指導法(4)ガスライティング

東京電機大学助教 山本 宏樹


 文科省が把握する体罰被害の児童生徒の割合は、おおよそ千人に1人である。だが、連載第2回で紹介した生徒側の調査では、体罰を受けた経験がある生徒の割合は「軽くたたかれた」が6.3%、「強くたたかれた」は4.4%に上り、文科省との差は約50倍になっている。体罰はなぜこれほど隠蔽(いんぺい)されるのだろうか。

 説明の一つとしてあり得るのは、報復や追放を恐れて告発を断念する「恐怖支配」が機能している点だ。被害者が誰かに相談しても告発につながりにくいとの指摘もある。

 部活動での体罰被害経験者に「なぜ体罰を問題にしなかったのか」と尋ねると、「試合でミスをして皆に迷惑を掛けたので、殴られるのは当たり前だと思った」「長時間叱責(しっせき)されたり、レギュラーを外されたりするよりは、殴られた方が楽だった」「殴られる分、目をかけてもらっていた」など、体罰を合理化する理由を挙げることが多いのである。……

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