高校ALのタネ ― アクティブな学びを育てる学校経営論(5)思考判断と論理力を育成

茨城県立並木中等教育学校校長・中島博司

ペアワークやグループワークで学力は向上するのか――。前回連載の冒頭で述べたアクティブ・ラーニング(AL)の課題の一つである。どんな学校でも、児童生徒の学力向上は大きな目標である。もしALの実施で学力が低下するのなら、これからの時代に必要だと言っても、ALは広がらないと感じていた。「種まく人」として、ALを学力向上につなげることはできないか。当時はこの問題を考え続けていた。

2016年5月、ついに「R80」を考案した。ちなみに、読みは「あーるはちじゅう」ではなく「アールエイティー」である。「R」は「Reflection(振り返り)」と「Restructuring(再構築)」の頭文字から、「80」は80字以内の文章を書くという意味だ。具体的には、授業の最後に「振り返り」として、ペアワークやグループワークで話し合う。その話し合いの内容を「再構築」して80字以内で記述するものである。必ず2文で書き、それぞれの文を接続詞で結ぶのが最大の特徴である。

なぜ、80字なのか。かつて「日本史」の教科書を執筆していたとき、編集長に「長い文章は駄目。理想は1文当たり50字前後」と言われたことがある。50字×2文だと百字になるが、3桁だと多いと感じる。90字は語呂が悪い。80字ならば文字数的にも無理がなく「R80」と表記した時の見栄えも良いと考えた。連載第2回で振り返った「カードシステム学習法」とは違い、「R80」は先を読んでデザインしたのである。

「R80」のプロトタイプ

この「R80」で、学力の3要素の一つである「思考力・判断力・表現力」と「論理力」を育成し、学力向上につなげようと考えた。「論理力」とは、「相手の主張の筋道を読み解き、自分の考えを整理して伝える力」だ。これは、塾講師で「現代文」のカリスマ、出口汪氏の定義である。

本校は中高一貫の中等教育学校だ。「R80」考案時の中学2年生は、現在の高校1年生。つまり「新テスト第1世代」である。そのため、20年度から始まる「大学入学共通テスト」の記述式問題に、いち早く対応しようと考えていた。17年11月に実施された「大学入学共通テスト」の試行調査(プレテスト)国語記述問題の問3の解答法には、条件が示されていた。「2文構成で80字以上120字以内で書くこと、2文目は『しかし』という書き出しで…」というものだ。その問題を見た時、思わず鳥肌が立った。同じ考えを持った人が国語の問題作成者にいたようである。

今回は、私の考案した「R80」について述べた。プロトタイプの用紙は、本校ホームページの「AL宝箱」に入っている。

次回は、「R80」が私の想像を超え、多方面に広がっている様子を記す。お楽しみに。