ダークペダゴジー ― 教師をむしばむ負の指導法(5) しごき稽古の問題点

東京電機大学助教 山本 宏樹


 日本社会の至る所で「しごき稽古」が用いられている。野球の「千本ノック」やバレーボールの「ワンマンレシーブ」のように、非常に強い身体的負荷の掛かる動作を延々と繰り返す特訓。寝る時間がないほどの宿題を課す「スパルタ学習法」。宿泊型の新人研修で泣くほどの人格否定をする「ブラック新人研修」などだ。限界を超えた練習を課し、平手打ちなどの身体的暴力を加えることなどもある。

 スポーツや受験勉強、礼儀作法を学ぶ際に「下手をすると殴られる」という緊張感の中、必死に努力して熟達を遂げるケースは確かに存在するだろう。暴力から身を守ること以外考えられなくなり、目標達成に向けて必死に努力する。すると、それなりの「成果」が出やすくなる。これにより、「結果オーライ」で正当化されがちである。

 戦場の兵士のように、長期間にわたって痛みや恐怖、緊張にさらされて「度胸」が身に付く場合があるかもしれない。……

この記事は購読会員限定です。購読を申し込むと、続きをお読みいただけます。