高校ALのタネ ― アクティブな学びを育てる学校経営論(7)TO学習

茨城県立並木中等教育学校校長・中島博司

「次なる一手が何かないか」「深い学びとは何だろう」「中高一貫という環境を生かせないか」――。2016年秋からそんなことを考えていた。やがて、キーワードは「縦割り」に決まった。時間をかけてネーミングを考えた。年が明け「高校ALサードステージ」が訪れた。

17年1月19日、新しい「アクティブ・ラーニング(AL)」として、私の考案した「TO学習」(読みはティーオー学習)が本校で初めて実施された。「TO」とは、「Teaching Others(他の人に教える)」の頭文字。偶然にも「他の人に教える」もローマ字表記すると、「TO」である。「to learning」という思いも込め、ALを「深い学び」に深化させようと考えた。

具体的には、学年を超えた「縦割りのペアワーク・グループワーク」である。記念すべき第1回のTO学習は、4年次生(高1)が2年次生(中2)に数学を教えるというミッションだった。そのときに生徒が書いた振り返りの「R80」には、好感触の意見が複数寄せられた。「相手に分かりやすく教えられるように、説明の仕方を工夫するよう意識した。

また、問題を教えながら、数学を勉強するのはインプット、アウトプットどちらも必要だと感じた」(4年次生)、「実力テストでは、自力で解けない問題がたくさんあり、見直してもよく理解できなかった。でも、今回先輩と一緒に考えることで、難しい問題を理解できたので感動した」(2年次生)などだ。

この「TO学習」を考案したのは上級生に「自分のために学ぶ」だけでなく「他の人のために学ぶ」ことを実感してもらいたかったからだ。下級生は先輩に教えてもらう喜びを感じていた。準備段階で異学年の教師が一緒に授業をデザインするという効果も出ている。これは、従来の中学・高校教育ではあまり見られなかった「文化」である。

「TO学習」を実施しているとき、生徒たちはにこにこしている。きっと「教える喜び」「学ぶ喜び」を実感しているのだろう。見学している教師もそれを見て「にこにこ」している。その光景に私は「ALの神髄」を見た気がした。その後、本校で実践を積んだ「TO学習」は、新聞、雑誌、テレビでも紹介された。18年3月には、教員ポータルサイト「Find! アクティブラーナー」の取材があり、国語の「TO学習」の授業動画が同サイトに公開された。

高2が中3に物理分野を教える場面

「R80」と違い、「TO学習」は今のところ大きな広がりを見せていない。おそらく、異学年が一緒に授業をする「文化」が高校にはあまりないのだろう。大学や実社会では、異年齢集団での学びが当たり前になる。ぜひ「深い学び」につながる「TO学習」に挑戦してほしい。高校でも3パターンの組み合わせが可能である。本校の実践は、学校ホームページの「AL宝箱」に入っている。

次回からは今年の取り組みを話す。まず「日本語の4技能」についてだ。お楽しみに。