イエナプラン ―インクルーシブな学びの実現―(5)仲間に学び共に生きる

日本イエナプラン教育協会特別顧問 リヒテルズ 直子

イエナプラン教育の基本活動の第一は「対話」だ。対話をするとき、人は自分の考えを言葉に置き換える努力をする。その努力は自分の考えをより正確に人に伝える努力でもある。

対話は相手の考えを言葉を通して理解することでもある。自分とは違うものの見方をする人の考えに触れることで、私たちは思い違いを修正し、より深い考えに至ることができる。つまり、対話は話す力と聞く力を同時に養い、自分のものの見方や考え方を一層深める、学びそのものなのだ。

イエナプラン校では、日々、さまざまな対話が行われている。中でも、異年齢グループ全員が円座になって行うサークル対話は、グループリーダー(担任教員)も参加する重要なものだ。その他、2、3人や小グループで行われる子ども同士の対話、グループリーダーと個別の子どもによる対話も頻繁に行われる。もちろん、学校の教職員同士も常に対話があり、保護者と教員の間にも対話がある。

サークル対話について少し紹介しよう。

教室でのサークル対話(Copyright:Tomoko KAWASAKI)

サークル対話は、グループリーダーも加わり、全員でできるだけきれいな円形(プレゼンテーションの場合は馬てい形)を作って行われる。こうすることで、全員が平等に話し合いに参加できる。くぼみがない円形は、お互いの表情が見え、投げやりにではなく、真剣な発言を生み出す上で重要だ。

サークル対話は、毎日の登校後、午前中の授業の締めくくり、午後の授業の始まり、放課後の前に、それぞれ15分程度行われるのが一般的だ。

もちろん、この時間は目安にすぎず、子どもたちが熱心に参加しているときは、少し時間を延ばすこともある。あまり会話が進まないときは早めに切り上げることもある。

サークル対話では、あくまでも自分から進んで発言することを尊重し、指名して発言させることはない。指名すると教員が期待する答えしか言わなくなり、内心の言葉を発言しなくなるからだ。

黙っているから子どもが何も考えていないわけではない。サークル対話の間、グループリーダーは、発言している子どもに、他の子どもが耳をきちんと傾けているかどうかに注意する。聞く力、他者を尊重する態度が育まれ、同時に信頼できる仲間としての一体感が育っていく。

朝のサークルでは、自由に思っていることを共有する対話もある。その他に、読書感想、作文発表、観察、時事などのサークルがあり、テーマを決めて行うものもある。

午前の終わりと放課後の前に行われるサークルでは、その時間までに行われた活動に「皆が心地よく参加できたか」「何を学んだか」「改善したいことは何か」を全員で振り返り、共有する。

毎日このようなサークルを繰り返すことで、共感や思いやりの心が育ち、お互いに仲間を大切にするグループが育っていく。

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