イエナプラン ―インクルーシブな学びの実現―(6)子どもを学びの当事者に

日本イエナプラン教育協会特別顧問 リヒテルズ 直子

基本活動の第二は「仕事」すなわち「学び」だ。一般に、オルタナティブ教育は、個別の子どもの特性やニーズに合わせて独自の発達を支援することを強調する。そのため外部からは「大人が手取り足取り面倒を見る学校」などという誤解を生みやすい。

実際は正反対で、オルタナティブ教育の多くは、学校の学習の主体を教員から子どもに移し、子ども自身が自分の学びの当事者になることで、確実かつ効率的に全ての子どもの発達を保証している。

イエナプラン校では午前中に1~2回、ブロックアワーという時間がある。ブロックとは、通常の1時限(約45分)より長い時間のことだ。子どもたちは週の初めにグループリーダーから自分の課題を受け取り、自分で1週間のブロックアワーの順番や時間配分を考え、計画を立てる。

ブロックアワーで仕事に取り組む(Copyright: Tomoko KAWASAKI)

ブロックアワーでは、その計画に基づき自立的に学習を進める。子どもたちは教室で異年齢から成る4~6人の小グループを組み、テーブルに座って勉強する。分からないときは周りの仲間に相談できる。

グループリーダーはブロックアワーの間、教室の片隅に一部の子ども(多くの場合は同学年の子どもたち)を集め、つづり方、読み方、文法、算数のスキルなどのインストラクション(指導)をする。

10人以内の子どもたちで進めるインストラクションは、小声で静かに展開する。小グループごとに15分程度の短時間で進めるインストラクションが終わると、グループリーダーは、自習している子どもたちの間を巡回。子どもたちの理解を確認したり質問に答えたりする。

こうしたやり方で、子どもたちは得意や不得意に応じて、現在の自分のレベルに合った課題に取り組める。それぞれに必要な時間がかけられ、仲間やグループリーダーに質問しながら学べることで、どの子も何かを確実に学習して一日を終えられる。

子どもの学習進度にばらつきがあっても、グループリーダーは不確実な部分が確実になるまで個別に課題を出せる。分からないまま次の単元に移ることもない。その結果、どの子どもも必修内容を確実に達成でき、余力のある子はさらに難しい課題に取り組むことが可能になる。

昼食後は、集中力の必要な自習ではなく、探究的なプロジェクト学習や演劇・音楽などの創造的な活動、生徒会議といった共同の「仕事」が中心になる。

未来社会は異なる特質を持つ人々が互いの力を出し合い、協働で大きな成果を生む働き方を求めている。共同の「仕事」は、子どもたちが競争ではなく、異なる力を出し合うことで大きな成果を生む経験を重ねることに狙いがある。