高校ALのタネ ― アクティブな学びを育てる学校経営論(9)AALの提唱

茨城県立並木中等教育学校校長・中島博司

2018年3月1日に挙行した本校の第5回卒業式で、私は学校長として、次のような式辞を述べた。今、世の中は、AI(人工知能)の普及で大きな変化の時代を迎えている。このような時代にあって、大切なものは何か。私は「アート」だと考えている。

私は15年からアクティブ・ラーニング(AL)の研究をしているが、その過程で、AIの発達する時代を生きるには「右脳」を鍛えることが大切だと考えるようになった。これまでの、知識重視の勉強では「左脳」を鍛えてきた。「左脳」は書く、話す、計算するといった能力をつかさどっている。これからは「左脳」だけでなく、「芸術の脳」「イメージの脳」とも呼ばれる「右脳」を鍛え、感性豊かでクリエーティブな力を育むことが大切な時代になるだろう。

そこで、私は今年からAALを全国に発信することにした。AALとは「アート・アクティブ・ラーニング」のこと。これからの教育では、あらゆる場面で「アート」の感覚を取り入れ、「感性」を磨くことが大切だと考えている。AALは、私のオリジナルだ。美しい物を見て美しいと感じられる感性、素晴らしい物を見て感動できる感性を養ってほしいと話した。

家庭科のアート・アクティブ・ラーニング

ちなみに、私は入学式や卒業式の式辞では、画家の話をするようにしている。今年の卒業式では「テオなくしてゴッホなし」というテーマで「友情」と「アート」を卒業生へのはなむけの言葉とした。3月22日の終業式では、生徒に次のように話した。去る3月1日の卒業式の学校長式辞で、AALについて話した。皆さんの中には、何をやるのだろうともやもやしている人がいるだろう。実は、AALは珍しく言葉を先行させた。何をやるかは、先生方や生徒の皆さんがデザインしていい。

ただ、私にもアイデアはある。一つだけ紹介したい。皆さんはALでの対話結果をホワイトボードに書くことがあると思う。そのとき、文字で書いているだろう。これを文字ではなく絵で描いてはどうか。色も使うといい。自分の考えを整理して伝えるとき、自由に絵で表現できるようになると、世界中の人々と対話ができるようになる。これもAALだ。一言で言うとAALは「右脳」を使うAL。「右脳」は感性、企画力、創造力、空間認識力などを担っている。AI時代には、AIにできない仕事を人間が行うことになる。その仕事には、結構「右脳」を使う分野が多いのだ。

ALという言葉によって、現在全国の多くの学校で授業改善が進んでいるように、AALという言葉によって、アートの重要性、「右脳」の大切さが全国に伝わるといいなと思う。生徒たちにはこのようにAALの意義を説明した。これが私の提唱しているAALのコンセプトだ。最終回では「今なぜALなのか」ということについて、私なりの考えをまとめたい。

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