イエナプラン ―インクルーシブな学びの実現―(7)遊びを通じた人間形成

日本イエナプラン教育協会特別顧問 リヒテルズ 直子

基本活動の第三は「遊び」だ。

小さい子どもほど、遊びと学びの区別は付けにくい。生まれて間もない乳児の頃から、子どもは身の回りの鮮やかな色や動く物に目を凝らし、聞き慣れない音に反応し、何かのにおいを嗅ぎ、物を口に入れ、手で触る。親が掛ける言葉や身ぶりに反応し、まねようとする。こうしたことの全ては、遊んでいるように見えて、実はさまざまな感覚を研ぎ澄ましながら、人間としての成長を重ねている証しにほかならない。

イエナプランでは、何らかの目的のために企図された遊びと、企図されていない自由遊びを実施する。それぞれの遊びを通じた人間形成を尊重し、学校の活動に積極的に取り入れている。

企図された遊びは、グループリーダーが主に企図する遊びだ。新学期が始まる9月に新しい異年齢グループが編成されると、1カ月ほどは、授業の合間に遊びをたびたび取り入れ、グループの子どもたちが互いに仲間意識を持てるよう支援する。

勝ち負けにあまりとらわれずに、誰もが参加して楽しめる遊びを教室や校庭で頻繁にする。学年の始めに、このような遊びを通じた仲間づくりに力を入れると、グループ内のもめ事やいじめが起こりにくくなる。子どもたちも安心して「仕事」(学び)に取り組めるようになる。グループリーダーにとって、遊ぶ子どもたちの姿は、個々の子どもの特性を見いだすきっかけにもなる。

グループリーダーは、授業中に「エナジャイザー(energizer )」と呼ばれる短い遊びを必要に応じて取り入れる。子どもたちの集中力が落ちていたり、話し合いに参加する意識が低くなったりしているときに、皆で遊び、笑って気分を変える。それによって、学習活動の意欲も高まる。

イエナプラン校には遊びの空間が豊富に用意されている(Copyright:Tomoko KAWASAKI)

多くの学校で、自立学習となるブロックアワー(本連載の第6回参照)の合間に、20~30分程度の遊びの時間を設けている。子どもたちは交代で、教室や廊下などに設けられたさまざまなコーナーで遊ぶことができる。

各コーナーでは、積み木を使った建造物づくりやままごとなどができる。演劇や人形劇のステージ、室内ゲームも置かれている。ここでの遊びは、授業で学んだ国語や算数のスキルを試す機会になっていて、子どもにとって発見の場でもある。