ダークペダゴジー ― 教師をむしばむ負の指導法(9)公教育の制度疲労が影響

東京電機大学助教 山本 宏樹


 いじめを研究する明治大学の内藤朝雄准教授が重要な指摘をしている。学校で残酷ないじめをする生徒や暴力を振るう教師たちも、法の支配する一般社会では「おとなしい小市民」だと言うのである。閉鎖的で密着した人間関係が強制される学校空間では、心理状態を一般社会とは別の「モード」にスイッチさせる特殊な磁場が発生しやすいのだ。

 学校の中でもダークペダゴジーが振るわれやすいのは、学級や部活動、生徒指導のような密室的環境である。職員室も密室的環境の一種であり、管理職やベテラン教師が子供を「しめる」方向にかじを切ると、服従圧力や同調圧力によって教職員集団全体に強権的態度が伝染し、ダークペダゴジーの温床が醸成される。過去の体罰死事件の中には、前任校で温厚だった教師が異動先の教職員集団への忠誠の証しとして体罰を振るい、生徒を死に至らしめたケースもある。

 学校現場の恒常的な多忙も問題である。……

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