高校ALのタネ ― アクティブな学びを育てる学校経営論(10)教師と生徒が笑顔に

茨城県立並木中等教育学校校長・中島博司

本校では、「今なぜアクティブ・ラーニング(AL)なのか」という問いを踏まえ、2017年の夏の研修会まで、「20年前にはなかったが、現在、存在する職業の名称」「あと10~20年でなくなる職業の名称」という課題でワークを実施していた。

このワークは、野村総合研究所がオックスフォード大学と共同研究し、15年12月に発表した「10~20年後に日本の労働人口の約49%がAIやロボットなどに代替される可能性が高い」というメッセージをきっかけに実施した。ワークでは「仕事が変わる」中でALが重要になる点を考察した。私は15年からALと並行して「新テスト(大学入学共通テスト)」「新学習指導要領」についても研究していた。そのため、「大学入試」と「教育」が変わるという観点からも、ALの重要性を説いていた。

17年8月、産業能率大学が主催する「キャリア教育推進フォーラム」で衝撃的な出会いがあった。哲学者で熊本大学の苫野一徳准教授との出会いだった。講演で苫野准教授は 「仕事や入試が変わるのは恐怖ですよね。人は恐怖では心の底から動きません。人は、楽しさ、喜び、うれしさによって心の底から動くのです」と語った。私はその言葉にはっとさせられた。本校の「TO学習」をはじめとしたALを参観すると、生徒たちは「にこにこ」し、心の底から「学び」を楽しんでいる。

ALサインで学びの改革を誓う

私は、苫野准教授の言葉に納得解を見つけ、著書を何冊も読んだ。特に『勉強するのは何のため?』(日本評論社刊)には感銘を受けた。この出会い以降、私は「今なぜALなのか」という問いの第一の解を「授業をより楽しくするため」にした。第二の解は「仕事が変わる」「教育が変わる」である。

ALの研究を始めて3年半が経過した。最近は全国各地で研修会の講師を務めるようになった。ある研修会のALのまとめに以下のポイントを挙げた。「ALは、授業と生徒を変え、学力向上を実現する。指導観や実践なども変わり、教師も生徒も幸せになる」と。ALを実施すると生徒たちは「にこにこ」する。教師もそれを見て「にこにこ」し、授業改善にやりがいを感じるようになる。「アクティブララーナー(能動的学習者)」になると、毎日が明るく楽しく充実し「幸せ」になれる。

私はこの3年間を振り返って、全国の学校の授業改善が進んだことを実感している。特に高校での変化は顕著だ。その変化にALという言葉が関与しているのは間違いない。学びの改革はこれからが本番だ。ALもこれからが本番である。そのためにも、私は「種まく人」として、もう少し走り続けようと思う。

20年後に日本の教育を振り返ったとき「あの頃が分岐点だったな」となる地点に、私たちは今立っている。現在は、明治維新以来の大きな教育改革の時期かもしれない。そのような時期に教育に携われる「幸せ」を感じながら、子供たちの未来のため一緒に頑張りましょう。

(おわり)