イエナプラン ―インクルーシブな学びの実現―(8)共同体意識の醸成

日本イエナプラン教育協会特別顧問 リヒテルズ 直子

基本活動の最後は「催し」だ。語源になったオランダ語の「Viering」には「祝う」という意味があり、イエナプランでは、皆で行う催しと広く捉えている。慶事に限らず、人の死や病気、事故、災害などに際しても皆で集まる。苦しみや悲しみも学校共同体の成員(子ども、親、教員)で共有することに意味を見いだしている。イエナプラン校では、クリスマスやイースター(復活祭)などのキリスト教の年間行事だけでなく、ユダヤ教やイスラム教など、他の宗教儀式も子どものアイデンティティーを踏まえ行事として尊重する。

グループ(クラス)では、年間の季節行事だけではなく、生徒やグループリーダーが誕生日を迎えた際にも、全員で朝のサークル対話の時間に歌を歌い、お祝いの言葉を掛け合う。グループリーダーが出産したり、誰かに弟や妹が生まれたりしたときなどもお祝いする。グループの誰かが重い病気や事故に遭ったり、不幸にも亡くなったりしたときは、グループリーダーが配慮しながら、子どもたち全員で悲しみを分かち合う。

人生に苦しみや困難はつきものだ。子どもたちは成長の中で、人の死や事故などに出会い、不安な気持ちを抱えることがある。そうしたときに、大人が見守る中で不安や恐れを言葉にし、仲間と共有することは大きな意味がある。

「催し」としての発表会(Copyright: Noriko MORISAWA)

その他の定期的な催しには、全校生徒が出席し週の初めか終わりに実施するミニ発表会がある。1週間の学びや数週間にわたるテーマ学習の成果などを見せ合う。グループごとに企画し、演劇やミュージカル、スライドを使ったプレゼンテーション、展覧会、詩の朗読、歌などを披露する。他グループの子どもたちや教員とも学習の喜びを共有し、一生懸命に学んだ結果や得た知識、スキルを分かち合うのである。

この発表会には保護者も参加する。子どもたちの手作りの発表は、必ずしも質が高いとは言えないことがある。だが、自ら企画し他者と共有することに意味があるのだ。低学年の子どもは高学年の子どもたちの発表を見て、成長への意欲を持つ。高学年の子どもは、低学年の子どもたちの発表に拍手を送りながら成長を見守る態度を養う。

学習成果の発表(催し)は、グループごとでもしばしば行う。子どもたちは、長期学習の成果が出ると、自分たちで保護者に招待状を出して発表会やパーティーを企画する。これらが、協働しながらイベントを実現する学びになっていて、子どもたちの共同体意識の醸成にもつながる。