ダークペダゴジー ― 教師をむしばむ負の指導法(12)病理的公教育の改善を

東京電機大学助教 山本 宏樹



 ダークペダゴジー論を巡っては、「教育の手続きだけを切り取って評価することで教育実践者を萎縮させる」といった危惧を抱かれる読者もいるだろう。生徒にストレスを与える指導を用いることが全般的に困難になり、「うわべだけのホワイトペダゴジー」や「無責任なアンチペダゴジー」がはびこるという危惧である。

 だが、注意するべきなのは「教育を巡る手続的倫理の領野を開拓すること」と「手続き至上主義を採ること」は別物だという点である。ダークペダゴジー論は、手続きの正当性を問わないまま「結果良ければ全て良し」的に語られがちな教育実践の倫理を、より多元的かつ精緻に論じるための理論である。この理論は教育の営みが不信の目にさらされた現代こそ求められている。

 われわれはダークペダゴジーに安易に居直ったり、教育現場の惨状を知らないまま安易にダークペダゴジーを全否定し、留飲を下げたりしないようにしたい。……

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