校長のパフォーマンス(93)終わらない教員の働き方改革

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教育創造研究センター所長 髙階玲治

中教審特別部会は、教員の働き方改革の素案を12月6日に発表した。①時間外勤務の上限を月45時間、年間360時間②授業準備や部活動を「勤務時間」とする③休日のまとめ取りをする「変形労働時間制」の導入④教員や地域が関わる業務の明確化――などである。

これまでも教員の過重な労働は指摘されてきたが、教員の残業は自発的意思として当然視され、多くの教員は月80時間を超えることがしばしば行われてきた。その意味では、教員の働き方改革として具体的な提案を示したことは一定の前進と言える。特に喫緊の課題として時間外勤務に上限を設けたことは、一定の評価ができる。ただし、必要な残業としながら、手当を考えないのはかなりの矛盾である。「タダ働き」をいつまで続けさせるつもりであろうか。

今回の改革案には、これからの学校教育や教員はどうあるべきかという、基本の論議がないままに操作的に残業時間を論じているようにみえる。未来志向としての学校がどうあるべきか、という論議が同時に語られる必要があるが、職務上何を減らし、何を重視すべきか、という視点は見えない。

また、英語教育やプログラミング教育のみでなく、職務を充実する課題は多いが、それに見合う教員の増加もみえない。

結果として働き方改革は、現有勢力のみでの学校任せに陥ることになりそうだ。教員の残業は、必要だから実施するのであって、やめるとなるとその判断が難しい。そこで、必要だがカットする、という仕事の切り捨てが起きる可能性がある。しかも、その判断は学校や教員個々である。それは容易であろうか。

また、教員の仕事を地域に移行される動きが強まると考えるが、その肩代わりが容易に進むかどうかは、地域によってかなりの違いが生まれそうである。地域社会そのものが必ずしもまとまりを持たない状況で、地域との関わりを学校に求めるのは大きな負担がむしろ生まれる可能性がある。

また、「変形労働時間制」が効果的かどうかはかなり疑問で、超多忙な時期の疲労を夏休みにまとめて解消できるとは思えない。単に年度の勤務時間の総計を地ならししていることにならないか。ただ今後、早急に必要なのは、残業縮減による効果的・効率的な仕事の仕組みの事例や調査結果である。各学校の働き方改革に役立つ情報である。

学校や教員自身も働き方改革が効果的・効率的に実施されることを願っているであろう。制度的には不十分であるが、学校が自律的・主体的に取り組むことで道が開かれる可能性がある。そのための校長の経営努力に期待したいと考える。

教員の働き方改革は、これからも続く終わりのない課題である。