全国学力調査から見えた 伸びる学校の条件(3)不利を克服する子供の特徴

お茶の水女子大学教授 浜野 隆

言うまでもなく、子供の学力は家庭の経済力や親の学歴によって全てが決定されるわけではない。不利な環境にあっても高い学力を達成している子供は決して少なくない。家庭の社会経済的背景(SES)が低い(下位25%)にもかかわらず、学力の上位25%(学力A層)に位置する児童生徒を「不利を克服している子供」と見なし、彼らがどのような特徴を持っているのか見ていこう。

第一は「非認知スキルの高さ」である。「非認知スキル」とは、読解力や計算力などの認知スキル以外の能力―粘り強さや忍耐力、自制心、好奇心、感情安定性、協調性を指す。近年、これらの能力は「社会情緒的スキル」「性格スキル」とも呼ばれ、学校生活のみならず、人生全般にわたる成功の鍵を握っているともいわれている。「不利を克服している子供」は、物事を最後までやり遂げる姿勢、異なる考えを持つ他者とのコミュニケーションなどの非認知スキルが高い傾向が見られた。

ここで重要なのは、SESと非認知スキルとの関係はそれほど強くないことである。SESが学力と強い関係にあるのは第1回ですでに述べたが、SESと非認知スキルとの間には弱い相関しかない。

これは、SESの高低にかかわらず、非認知スキルを伸ばすチャンスがあることを示唆している。親が子供に努力や忍耐の大切さを伝えたり、温かい褒め言葉を掛けて自信を持たせたりして、子供の非認知スキルを高めることが重要である。

第二は「一定の学習時間を確保している」ことである。平日の学習時間を見ると、「不利を克服している子供」は同じSESの学力B~D層(学力上位25%以外の層)に比べ、小中共に「1時間以上、2時間より少ない」「2時間以上、3時間より少ない」と回答する者の割合が高い。このように「不利を克服している子供」は、塾などに頼らずとも一定の学習時間を保っており、それが学力の獲得に結び付いていると言える。

第三は「復習中心の学習スタイル」によって学校で学ぶ内容の確実な定着を図っている点だ。「不利を克服している子供」は、同じSESの学力B~D層やSES上位層(上から2分の1)の学力A層と比べても、「学校の授業の復習をする」との回答が多い()。

「不利を克服している子供」は、復習を中心に毎日一定の学習時間を確保している。それを支えているのが自制心や誠実さなどの「非認知スキル」だと言えよう。

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