古くて新しいPTA問題 これからの保護者と教師の関係(3)学校側の見方

ジャーナリスト 大塚 玲子

普段は保護者の目線でPTA問題を考えているが、教師の側に視点を移すと、また違った景色が見えてくる。また一口に教師といっても、校長や教頭の管理職と、一般の教師では見方に多少の乖離(かいり)がある。

管理職にとってPTAはリソースとしての期待が大きい。保護者(主に母親)の無償労働やお金、モノを寄付してくれるのはやはりありがたい。一方で学校はPTAに対し、「リソースだけ提供してもらい、学校のことには口を出さないでほしい」と考えている。以前ある校長に「本音を聞かせてほしい」と尋ねたところ、同じ答えが返ってきた。

『ブラック校則』(荻上チキ/内田良著・編集、東洋館出版社)の第11章「保護者からみた校則」にも書いたが、学校側が保護者の口出しを嫌う風潮は強い。数年前、ある保護者が古い校則の見直しを求め、PTAからの働き掛けを探ったところ、先んじて校長からPTA会長に対し「校則に口を出すな」と申し送りがあったという。こうした傾向は昔からあるようだ。30年前、生徒会と協力して校則の大幅改訂を実現した元PTA会長は、「当時校長会に行くと『親たちが物申すな』と言われた」と証言する。

リソースは出させて口出し無用とはずいぶん都合がいいように感じるが、悩ましい面もあるのだろう。以前あるPTAを取材した際、役員の立場にある保護者が「(これだけ学校のために働いているのだから)うちの子の成績、よろしくお願いしますね」と軽口を言ったのだが、このとき教頭が浮かべた複雑な表情を思い出す。PTAから労働力の提供や寄付を受ければ、管理職も借りをつくった気持ちになるだろう。かといって何でも言うことを聞くわけにもいかず「それとこれとは別」にせざるを得ない事情も分からなくはない。そもそもPTAにはT(教師)が入っており、Tの望まないP(親)の要望を出すのは難しい。

保護者には「PTAは学校に外部(保護者)の声を届けるためにある」という人もいる。だが善しあしは別として、現状そういった機能を有するPTAはほとんどない。今後、その役割はコミュニティ・スクール(学校運営協議会)が担うことになり、PTAは期待されていない。

では、一般の教師にとってPTAはどんな存在なのか。話を聞く限り「求められている」とは言いにくい。行事の手伝いなどに対する感謝はあるが、それらは教職員が十分に配置されれば不要になるものだ。次回以降、むしろ「PTAが必然性のない仕事を増やす」と感じている教師が多い実情について触れたい。