全国学力調査から見えた 伸びる学校の条件(4)教育効果の高い学校

お茶の水女子大学教授 浜野 隆

全国学力・学習状況調査の保護者調査は、これまで2013年度と17年度に実施されている。家庭での親の働き掛けと子供の学力の関係については両年度とも▽早寝早起き朝ごはんに代表される「基本的生活習慣の確立」▽テレビゲームや携帯電話に関するルール設定や計画的な学習を促す「生活規律・学習規律の徹底」▽親の読み聞かせや本・新聞を子供に勧める「文字文化への誘導」▽親自身が地域や社会で起こっている問題や課題、出来事に関心を持ち、普段から本や新聞に接する「保護者自身の生活や行動」――が子供の学力と深く関係していることが分かってきた。 どれも「ごく当たり前」だと感じるかもしれないが、当たり前のことを実践できている家庭は意外に少ない。学校は折に触れてこのような結果を保護者に伝え、児童生徒の家庭学習の習慣を確立する活動を継続的に実施する必要がある。 ここに挙げた「基本的生活習慣の確立」「生活規律・学習規律の徹底」「文字文化への誘導」「保護者自身の生活や行動」はいずれも、SES(家庭の社会経済的背景)と深く関係している。SESが高い家庭ほど親が読み聞かせをしたり、本や新聞をよく読んだりする傾向があるのは否めない。したがって、高いSESの子供が多く集まる学校では平均正答率が高く、逆のケースでは低くなる傾向がある。
学校の社会経済的背景と平均正答率との関係(17年度、中3)※お茶の水女子大学「全国学力・学習状況調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」(2018)
図は17年度の保護者調査の対象校について、横軸に学校平均SES、縦軸に学校の平均正答率(国語A・B、数学A・Bの平均値)を取り、個々の学校をプロットしたものである。一見して分かるように傾向線は右肩上がりであり、全国的に見ても学校SESが高いほど学校の学力も高くなる傾向にある。 だが、図をよく見ると、学校SESがそれほど高くないのに、非常に学力が高く、傾向線よりも上に大きく離れている学校がある(〇囲みの箇所)。反対に、傾向線よりも下に大きく離れている学校もある。 右肩上がりの傾向といっても、例外的な学校がかなりある。傾向線から大きく上に離れている学校は「学校の取り組み」によって「社会経済的背景の不利」を克服しているのではないか。このように、SESから予想される達成水準を大きく上回る学校を、本連載では「教育効果の高い学校」と呼びたい。 次回からは、この「教育効果の高い学校」の特徴について詳しく見ていきたい。「教育効果の高い学校」の持つ特徴こそが、「伸びる学校の条件」でもあるといえる。